コンテンツへスキップ

SAP PS 製番MRP

基本設定(SPRO)からSD/MM/PP統合フローまで

第1章 製番管理とは

1-1 製番管理の概念

製番管理(Individual Requirements Management)とは、受注ごとに品目の所要量・在庫・調達を個別に紐付けて管理する方式である。通常の見込生産では在庫プール管理が前提だが、製番管理では「どの受注のために確保した在庫・調達か」を品目レベルで追跡する。

SAP PSにおける製番管理は、WBS要素を「製番」として扱い、そこに紐付いた所要量をMD51(プロジェクトMRP)で展開することで実現する。

1-2 製番管理が必要になるケース

業種・状況 なぜ製番管理が必要か SAP上の実装
受注生産(MTO/ETO) 受注ごとに仕様が異なり汎用在庫との混在が不可 WBS要素を勘定割当先にした個別調達
高額設備の個別原価管理 プロジェクト単位の原価を正確に把握したい WBS別コスト集計(CO-PC)
プロジェクト品質追跡 どのロット部品を使ったか記録が必要 Q在庫(プロジェクト在庫)によるロット管理
長納期資材の先行確保 特定受注向けに長納期品を早期確保したい 個別所要量による予約管理

【通常MRPとの違い】 通常のMRP(MD01N)はプラント全体の需要を集約して計画する(集団所要量)。製番MRP(MD51)はWBS要素ごとに所要量を個別展開し、調達・製造もWBS紐付きで行う(個別所要量)。

1-3 3つの実装アプローチ

アプローチ 概要 使用場面
PSによる製番MRP(本書対象) WBS要素をキーにMD51でMRP展開 大規模プロジェクト・複数工程を跨ぐ製造
販売注文在庫(SOI) 受注伝票番号を在庫のキーにする SD受注直結・工程数が少ない受注品
バッチ管理 バッチ番号で受注を追跡 薬品・食品など品質トレースが必要な業種

第2章 SPRO設定全体マップ

製番MRPを正しく機能させるには、PS・PP・MM・SD・CO/FIの5モジュールにわたる設定が必要である。設定の1箇所でも漏れがあるとMRP展開・Q在庫管理・原価集計のいずれかが正しく動作しなくなる。

本章では全設定項目を俯瞰し、第3〜7章で各モジュールの設定を詳解する。

モジュール 主な設定カテゴリ 代表的T-Code / IMGパス 詳解章
PS プロジェクトプロファイル / WBS要素プロファイル / ネットワーク / 予算 / 決算 OPS1/OPSA/OPBK/OKO7 第3章
PP MRPコントローラ / 特殊調達タイプ / 指図タイプ / 日程計画 OMD0/CPU3/OPL8/OPPQ 第4章
MM 勘定割当カテゴリ / 移動タイプ / 自動仕訳 / 評価クラス OME9/OMJJ/OBYC 第5章
SD 品目カテゴリ / スケジュール行カテゴリ / 勘定割当 / 請求計画 VOV7/VOV6/VKOA 第6章
CO/FI 管理領域有効化 / 決算プロファイル / 収益認識 / 予算可用性 OKKP/OKO7/OKG1 第7章

2-1 設定依存関係

以下の順序で設定を行うと依存関係によるエラーを防止できる。

順序 設定内容 理由
PS:プロジェクトプロファイル(OPS1) WBS要素・ネットワークの前提設定
PS:WBS要素プロファイル(OPSA) MRP関連フラグ・請求要素フラグ
PP:特殊調達タイプの定義 品目マスタの特殊調達キーで参照される
MM:勘定割当カテゴリ「Q」の設定(OME9) 購買発注・製造指図で使われる前提
PP:MRPコントローラ(OMD0) 品目マスタMRPビューで参照
PP:指図タイプ/プラント割当(OPL8) 製造指図作成の前提
SD:品目カテゴリ設定 受注発行前に必要
CO:決算プロファイル(OKO7) WBS要素の決算(CJ88)で参照
FI:自動仕訳(OBYC等) 入出庫・請求書処理で仕訳生成に必要

第3章 PSモジュール設定(SPRO)

3-1 プロジェクトプロファイル(OPS1)

プロジェクトプロファイルはプロジェクト定義(CJ01)作成時に指定するテンプレートで、会計・計画・日程・ステータス管理のデフォルト値を定義する。

OPS1 プロジェクトプロファイルの設定

(IMG パス)プロジェクトシステム > 構造 > オペレーティングステータス > プロジェクトプロファイルの定義

設定フィールド 製番MRP向け推奨設定 説明
プロジェクトプロファイルID 任意(例:Z_MTO01) 製番MRP用プロファイルを別途作成することを推奨
オブジェクトクラス 通常(NORM) 投資(INV)はAuC連携時に選択
利益センタ WBS要素の利益センタ継承を設定 PS→CO-PA連携の起点
コミットメント管理 有効 発注確定額をBSに計上するために必要
予算管理 有効 予算可用性チェック(OPBK)の前提
CTPを使用する 原則無効 CTOはVariant Configurationで対応

【プロファイル分離】 製番MRP用プロジェクトと投資プロジェクト(AuC対象)は別プロファイルを推奨。設定の混在は決算処理でエラーを引き起こす。

3-2 WBS要素プロファイル(OPSA)

WBS要素プロファイルはWBS要素の属性(MRP対象・請求要素・勘定割当要素等)を定義する。製番MRPではこの設定が正しくないとMD51展開対象にならない。

OPSA WBS要素プロファイルの設定

(IMG パス)プロジェクトシステム > 構造 > WBS要素 > WBS要素プロファイルの定義

フラグ 製番MRP向け設定 設定しないとどうなるか
MRP関連(Acct Assgnmt) ON(必須) MD51の展開対象にならない。計画手配が生成されない。
勘定割当要素 ON(必須) 購買発注・製造指図の勘定割当先として使えない
請求要素 売上認識が必要なWBSのみON OFFのWBSはSD受注の勘定割当先として使えない
計画要素 計画コスト入力が必要なWBSのみON OFFでも動くが、原価計画(CJ40)が使えなくなる
予算管理(Bgt) 予算可用性チェックを使う場合ON OFFでは予算超過時も発注がブロックされない

☞ MRP関連フラグがOFFのWBS要素はMD51の対象外となる。プロジェクト内に非MRP系WBSと製番MRP系WBSが混在する場合、プロファイルで明示的に区分すること。

3-3 ネットワークプロファイル(OPS2)

製番MRPでネットワーク活動を使う場合(工程管理・能力計画が必要な場合)、ネットワークプロファイルの設定が必要である。

OPS2 ネットワークプロファイルの設定

(IMG パス)プロジェクトシステム > ネットワーク > ネットワークプロファイルの設定

設定フィールド 推奨設定 説明
指図タイプ(ネットワーク) NW01等 PP-PPからOPL8で割当てた指図タイプ
MRPグループ 任意(例:PSGRP) 能力所要量グループ
コスト管理(原価要素グループ) 設定必須 原価要素ごとのコスト集計区分
スケジューリングタイプ 前方スケジューリング 受注日から納期を計算する場合

3-4 予算プロファイル(OPBK)

予算可用性チェックを使う場合(購買発注・製造指図発行時に予算超過をブロックしたい場合)に設定する。

OPBK 予算プロファイルの定義

(IMG パス)プロジェクトシステム > 原価 > 予算 > 予算プロファイルの設定

設定フィールド 説明
可用性確認 「A:ハード(エラー)」または「B:ソフト(警告)」を選択。製番管理では通常ハードブロックを推奨。
適用対象 購買依頼/購買発注/製造指図のどの段階でチェックするかを選択
許容範囲(%) 予算の何%まで超過を許容するかを数値で設定(例:105%=5%超過まで許容)
許容金額 金額による許容上限も設定可能

【注意事項】 OPBK設定をしただけでは動かない。プロジェクトプロファイル(OPS1)で「予算管理有効」フラグを立て、さらにWBS要素に予算(CJ30)を登録することが前提となる。

3-5 決算プロファイル(PS固有設定)

WBS要素の決算(CJ88)では、仕掛品残高をどのG/L勘定・原価センタ・利益センタへ振替えるかを「決算プロファイル」と「決算ルール」で定義する。

OKO7 決算プロファイルの設定

(IMG パス)管理会計 > 内部指図 > 実績転記 > 決算 > 決算プロファイルの管理

設定フィールド 製番MRP向け推奨値 説明
振替タイプ PER(期間按分)またはFUL(残高全額) 製番管理ではFULが多い(受注完了時に全額振替)
振替先タイプ G/L勘定(FI)・利益センタ(CO-PCA) WBS残高の最終転記先
決算ルールの発生源 自動(WBS要素に自動設定)or 手動 自動設定を推奨(手動は設定漏れリスク)
有効期間 プロジェクト有効期間を設定 期外の転記をブロックする

3-6 WBS要素の番号範囲

CJ82 プロジェクト定義の番号範囲設定

(IMG パス)プロジェクトシステム > 構造 > プロジェクト定義 > 番号範囲の設定

プロジェクトIDの採番ルールを設定する。外部番号採番(受注番号と一致させる)か内部番号採番かを決定する。製番管理では受注番号とプロジェクトIDを一致させる運用が多い。

第4章 PPモジュール設定(製番MRP向け)

4-1 MRPコントローラの設定(OMD0)

MRPコントローラ(プランナーコード)は、品目マスタMRPビューで各品目に割当てる担当者識別子である。MD51実行時のフィルタや、例外メッセージのルーティングに使用する。

OMD0 MRPコントローラ(プランナー)の設定

(IMG パス)生産計画/管理 > 資材所要量計画 > マスタデータ定義 > MRPコントローラの定義

フィールド 設定例 説明
プランナーコード PS01 製番MRP専用のコードを作成することを推奨
プランナー名 PSプロジェクト調達担当 担当者または担当グループ名
電話/メール 任意 例外発生時の連絡先(参照用)

【運用ポイント】 製番MRP品目(プロジェクト向け)と量産品(通常MRP品目)でMRPコントローラを分けると、MD51実行時に「PS担当品目のみ」を絞り込んで処理できる。MD01N(量産MRP)との混在を防ぐためにも分離を推奨。

4-2 特殊調達タイプの設定

特殊調達タイプはMRP実行時に「調達方式(外部調達/内製/プロジェクト在庫など)」を品目マスタ・プラントの組み合わせで指定するパラメータである。製番MRPでは「プロジェクト在庫(Q在庫)」に紐付く特殊調達タイプを必ず設定する。

(IMG パス)生産計画/管理 > 資材所要量計画 > マスタデータ定義 > 特殊調達タイプの定義

特殊調達キー(例) 調達タイプ 意味 使用場面
40 外部調達(Q在庫) WBS要素を勘定割当先にした購買発注を生成 外部から購入してプロジェクト在庫へ入庫
70 内製(Q在庫付き製造指図) WBS要素紐付きの製造指図を生成 社内製造してプロジェクト在庫へ入庫
71 外部調達(プロジェクト直接) WBS要素に直接費用を計上する購買 役務・外注費など在庫にならないコスト
50 在庫転送(プラント間) 他プラントのQ在庫から転送 マルチプラント構成でのプロジェクト在庫移送

☞ 特殊調達キーはプラントごとに定義が必要。複数プラント環境では全プラントへの設定漏れが多い。新プラント追加時に忘れやすいため、システムランドスケープ変更時の設定チェックリストに必ず含めること。

4-3 日程計画パラメータ(CPU3)

製番MRPで生成された製造指図の日程計算(前方/後方スケジューリング)に使うパラメータを設定する。

CPU3 日程計画パラメータの設定

(IMG パス)生産計画/管理 > 製造指図 > 基本設定 > 日程計画パラメータの設定

パラメータ 説明 製番MRP向け推奨
スケジューリングタイプ 前方(Forward)/ 後方(Backward) 後方(納期から逆算)が一般的
生産開始日余裕 製造開始前のバッファ日数 1〜3日(資材準備期間)
生産完了日余裕 完成から出荷前のバッファ日数 1〜2日(検査・梱包期間)
カレンダー 工場カレンダーID(SCAL) 稼働日のみを計算対象にする

4-4 製造計画プロファイル(OPKP)

製造計画プロファイルはMRP実行時のデフォルトパラメータを定義する。製番MRP専用プロファイルを作成することで、通常量産品のMRPパラメータとの混在を防ぐ。

OPKP 製造計画プロファイルの設定

パラメータ 製番MRP向け設定 説明
処理キー NETCH(全変更対象)またはNETCD(変更分のみ) 製番MRPは変更分のみ(NETCD)の方が処理効率が良い
購買依頼の作成 即座に発注 MD51後すぐに購買依頼を生成する設定
スケジュール行の作成 即座に 受注と製造の日程を即座に確定
MRP計画作成者 PS用プランナーコード(OMD0で設定) PS担当品目のみ処理する

4-5 指図タイプとプラント割当(OPL8)

製番MRPで生成される製造指図に適用する指図タイプを、プラントごとに割当てる。製番管理専用の指図タイプを作成することで、通常の量産指図と区別できる。

OPL8 指図タイプ・プラントの割当設定

(IMG パス)生産計画/管理 > 製造指図 > 基本設定 > 指図タイプとプラントの割当定義

指図タイプ(例) 内容 使用場面
PP01(標準) 標準量産製造指図 量産MTS・MTO(通常)
PP02(プロジェクト用) WBS紐付き製造指図 製番MRP展開で生成される指図
PP03(リワーク) 不良品再加工用 リワーク指図専用タイプ

【指図タイプの独立】 製番MRP用指図タイプを別に作成することで、CO決算ルール・ステータス管理・コスト収集区分を量産品と分離できる。プロジェクトコストをWBS要素に集計するための決算ルールも指図タイプに紐付けて設定する。

4-6 生産スケジューリングプロファイル(OPPQ)

製造指図(CO01/MD51展開後)のデフォルト処理(自動リリース・自動印刷等)を定義する。

OPPQ 生産スケジューリングプロファイルの設定

パラメータ 製番MRP向け推奨 説明
自動リリース 原則OFF プロジェクト指図は手動確認後リリースを推奨
在庫チェック(確認) ON 資材の引当可能性を確認してからリリース
能力確認 ON(能力計画使用時) 作業区の過負荷チェック
自動商品出荷(MIGO) OFF 手動MIGOで出庫タイミングを管理

第5章 MMモジュール設定(プロジェクト在庫・調達)

5-1 勘定割当カテゴリの設定(OME9)

勘定割当カテゴリはMM購買発注・入荷時に「コストをどのオブジェクトに割当てるか」を定義するキーである。製番MRPでは「Q(プロジェクト在庫)」と「P(プロジェクト直接費用)」の2カテゴリが主に使われる。

OME9 勘定割当カテゴリの設定

(IMG パス)購買/在庫管理 > 購買 > 勘定割当 > 勘定割当カテゴリの定義

カテゴリ 意味 在庫への計上 使用場面
Q(プロジェクト在庫) WBS要素紐付きの在庫調達 Q在庫として在庫計上される 部品・材料の調達(入庫後もQ在庫管理)
P(プロジェクト直接) WBS要素直接費用 在庫計上されず費用直接計上 役務・外注費・消耗品など在庫化しないコスト
K(原価センタ) 原価センタへの費用計上 在庫計上なし 間接材・事務用品(通常MM)
A(固定資産) 固定資産への計上 在庫計上なし 資本的支出(投資プロジェクト)

OME9でQカテゴリに設定する必須フィールド:

  • 勘定割当変更の許可:ON(WBS要素をPO明細ごとに指定できるようにする)

  • WBS要素フィールド:必須入力に設定

  • 在庫管理の対象:Q在庫(プロジェクト在庫)を有効化

☞ QカテゴリとPカテゴリの使い分けを誤ると、在庫とならない費用が在庫として残ったり(B/S膨張)、在庫管理すべき部品が費用直接計上されて在庫差異が出たりする。調達品目ごとにどちらを使うか業務要件で明確化してから設定すること。

5-2 移動タイプの確認(OMJJ)

Q在庫(プロジェクト在庫)用の移動タイプは標準で提供されているものを使用するが、カスタム移動タイプが必要な場合はOMJJで追加設定する。

OMJJ 移動タイプの設定

移動タイプ 内容 使用場面
101Q Q在庫入庫(購買発注から) 購買発注(勘定割当Q)の入荷→Q在庫に計上
261Q Q在庫払出(製造指図向け) 製造指図への材料払出(Q在庫から製造指図へ)
281Q Q在庫払出(ネットワーク活動向け) ネットワーク活動への材料払出
411Q Q在庫→通常在庫転換 プロジェクトキャンセル時の在庫戻し
412Q 通常在庫→Q在庫転換 既存在庫をプロジェクト向けに割当てる
541 外注先への支給出荷 外注加工工程(PP-302)での支給
101(外注返品) 外注先からの加工品受入 外注完了後の入荷

【標準移動タイプ】 Q在庫用移動タイプは標準SAPで提供されており、通常はカスタマイズ不要。ただし、移動タイプに紐付く自動仕訳(OBYC)の勘定科目割当が正しいか確認が必要。

5-3 自動仕訳の設定(OBYC)

在庫移動時にFIへ自動転記される仕訳を、OBYC(在庫管理の自動仕訳)で設定する。製番MRPで特に重要な仕訳キーは以下の通り。

OBYC 自動仕訳の設定(在庫管理)

仕訳キー 内容 製番MRPでの発生タイミング
BSX 在庫原価変動勘定 101Qでの入庫時(借:プロジェクト在庫 / 貸:GR/IR仮払)
WRX 未転記請求書照合勘定 入庫時の対仕訳(GR/IR仮払)
GBB/VBR 工場出庫(払出) 261Q払出時(借:製造中間費用 / 貸:プロジェクト在庫)
PRD 購買価格差異 標準原価と実際入荷価格の差異

プロジェクト在庫(Q在庫)専用の評価クラスを品目マスタ会計ビューに設定することで、G/L勘定の割当を通常在庫と分けて管理できる。

OMSK 評価クラスの設定

(IMG パス)購買/在庫管理 > 評価と勘定割当 > 評価クラスの設定

5-4 品目マスタ設定(製番MRP品目)

製番MRP対象品目には品目マスタの各ビューで正確な設定が必要である。

ビュー フィールド 製番MRP向け設定値 注意点
MRP1 MRPタイプ PD(MRP) M0(手動MRP)は製番管理では不可
MRP1 MRPコントローラ PS専用プランナーコード(OMD0で設定) 量産品と混在させない
MRP1 ロットサイズキー EX(正確なロット) 製番管理は通常ぴったり管理
MRP2 所要量管理区分 1(個別所要量) 2(集団)では製番管理にならない(最重要設定)
MRP2 特殊調達キー Q在庫用キー(例:40 or 71) プラント依存設定(4-2章で設定したもの)
MRP2 安全在庫 0(製番管理では原則ゼロ) Q在庫と通常在庫の混在を防ぐ
MRP3 計画戦略グループ 製番MRP品目は通常空白 戦略グループはMTSでの計画に使う
会計1 評価クラス プロジェクト在庫用評価クラス OMSK/OBYCと連携

☞ 所要量管理区分を「1(個別)」に設定しないと、WBS要素ごとに分離された所要量が生成されず、プロジェクト間での在庫が混在してしまう。製番MRP導入時の最も多い設定ミス。

5-5 許容範囲の設定(OMR6)

購買発注と請求書照合(MIRO)の金額・数量差異の許容範囲を設定する。プロジェクト調達では単価変動が大きいことが多いため、許容範囲の設計が重要。

OMR6 許容範囲の設定

許容範囲タイプ 製番MRP向け設定例 説明
価格差異(絶対) ±10,000円 単価が確定している品目向け
価格差異(%) ±5% 資材単価が変動しやすいプロジェクト品目向け
数量差異 ±2% 入荷数量の誤差を許容

第6章 SDモジュール設定(受注→WBS連携)

6-1 受注伝票タイプの設定

製番MRP向け受注伝票タイプは、通常の在庫販売(TAN)と異なり、WBS要素を勘定割当先に指定できる設定が必要である。

(IMG パス)販売と流通 > 販売 > 受注 > 受注伝票タイプの定義

設定フィールド 推奨設定 説明
受注伝票タイプ ZPS(カスタム)またはTA 製番MRP専用タイプの作成を推奨
勘定割当カテゴリ(ヘッダ) E(販売注文在庫)またはQ(PS) WBS勘定割当する場合はQを設定
請求計画タイプ マイルストーン請求または都度請求 プロジェクト完了型はマイルストーン推奨
MRP関連 D(MRP連動スケジュール行) SD要求をPP/PSに連動させる

6-2 品目カテゴリの設定(VOV7)

受注明細の品目カテゴリは「在庫販売」「受注生産」「プロジェクト品目」の区分を決定する最重要設定の一つ。

VOV7 品目カテゴリの設定

(IMG パス)販売と流通 > 販売 > 受注 > 品目カテゴリの定義

品目カテゴリ 意味 製番MRPとの関係
TAN 標準品(在庫販売) ATP確認→在庫から出荷。製番MRP不要。
TAK 受注生産品(ATP確認なし) MTO向け。受注特別ストック(販売注文在庫)
TAP(カスタム推奨) プロジェクト品目 WBS要素を勘定割当先に指定。製番MRPのSD側起点。
TAS 第三者発注(直送) 仕入先から顧客へ直送。プロジェクト調達にも使用可。
品目カテゴリの設定フィールド 製番MRP向け設定 理由
請求関連性 B(请求計画)またはF(都度) マイルストーン請求を使う場合はB
特別在庫 Q(プロジェクト在庫) 出荷時にQ在庫を参照する
作成所要量 X(WBS要素ごとに独立所要量) 個別所要量の起点となる

6-3 スケジュール行カテゴリの設定(VOV6)

スケジュール行カテゴリはSDの需要をPP・MMのどの機能に連携するかを制御する。製番MRPでは独立所要量→MD51展開の起点となる設定が重要。

VOV6 スケジュール行カテゴリの設定

スケジュール行カテゴリ 連携先 製番MRPでの使用
CP(MRP連動) MRPで計画手配を生成 TAN品目の標準在庫販売
CN(MRP連動なし) MRP連動なし 先納注文等
CQ(プロジェクト在庫) Q在庫から出荷 製番MRP品目の出荷スケジュール行
CS(第三者発注連動) 購買依頼自動生成 TAS(第三者発注)と組み合わせ

【CQカテゴリ】 CQを使うと出荷時にQ在庫(プロジェクト在庫)を参照する。TAPまたはカスタム品目カテゴリとCQを組み合わせることで、受注→Q在庫出荷のフローが完成する。

6-4 自動仕訳設定(VKOA)

受注の請求書(VF01)発行時に、売上勘定をWBS要素に対応したG/L勘定へ転記するための設定。

VKOA SD自動仕訳の設定(勘定コード割当)

(IMG パス)販売と流通 > 基本機能 > 勘定決定 > 収益勘定決定の更新

仕訳キー 内容 プロジェクト販売での役割
KOFI 売上収益転記 VF01発行時の売上G/L勘定転記先(プロジェクト別売上勘定が望ましい)
KOFK 原価センタ/COオブジェクトへの転記 CO-PA連携で使用

6-5 マイルストーン請求計画の設定

ETO/MTO型プロジェクトでは、契約上のマイルストーン(中間検収・引渡し等)に連動して請求書を発行するマイルストーン請求を使う。

(IMG パス)販売と流通 > 請求 > 請求計画 > 請求計画タイプの定義

設定フィールド 内容
請求計画タイプ M(マイルストーン)を設定
マイルストーン参照 PSのマイルストーンID(CJ20N)と紐付ける
請求金額決定 受注金額×マイルストーン%(例:着手30%/中間40%/完了30%)
自動請求化 マイルストーン達成時にVF01が自動実行可能になる設定

第7章 CO/FIモジュール設定

7-1 管理領域の有効化(OKKP)

COの各コンポーネント(原価センタ会計・内部指図・プロジェクト会計等)を管理領域レベルで有効化する。製番MRPではコミットメント管理の有効化が特に重要。

OKKP COコンポーネント有効化フラグの設定

COコンポーネント 製番MRP向け設定 設定しないとどうなるか
コミットメント管理 必須:有効 購買依頼・発注の確定額がCJI3/CJ40に表示されない
プロジェクト(PS) 必須:有効 WBS要素への費用集計ができない
原価センタ会計(CCA) 推奨:有効 社内労務費(CATS)のWBSへの配賦に必要
CO-PA(利益センタ会計) 要件次第 プロジェクト損益の利益センタ別管理に使用

7-2 収益認識設定(工事進行基準)

ETO型プロジェクトに工事進行基準(POC法)を適用する場合、収益認識メソッドと結果分析バージョンの設定が必要である。

OKG1 収益認識メソッド(結果分析方法)の設定

(IMG パス)管理会計 > 受注関連管理会計 > 収益認識 > 結果分析方法の定義

収益認識メソッド 計算方式 使用場面
01:完成基準 完成時に全額認識 短期・小規模案件(ETO以外)
02:原価ベースPOC(進行基準) (実際原価累計÷予算原価)×受注金額 工事進行基準(最も一般的なETO向け)
03:完成工事基準 マイルストーン達成時に部分認識 契約上のマイルストーンが明確な場合
05:利益計画ベースPOC 利益計画をベースにした収益認識 複雑な案件で利益率が重要な場合

OKG8 結果分析バージョンの設定

【注意】 OKG1で設定したメソッドはOKG8のバージョンに紐付けて使用する。VF44(収益認識実行)はこのバージョンを参照して計算を行う。FI月次決算では「VF44実行→CJ88(WBS決算)」の順で処理する。

7-3 初期勘定割当(OKB9)

COオブジェクト(WBS要素・内部指図等)から費用が発生した際、FI側の自動転記勘定を定義する。製番MRPでは「G/L勘定→WBS要素」への自動転記設定が重要。

OKB9 初期勘定割当の設定

設定フィールド 製番MRP向け内容
評価領域 プラント+会社コードの組み合わせで設定
G/L勘定 WBS費用が転記される原価勘定(例:工事原価・外注費)
COオブジェクト 「WBS要素を使用」フラグをON
費用センタ WBS要素への転記が優先されるよう設定

7-4 COコミットメント管理

コミットメント管理は「購買依頼・購買発注の金額(支払義務は確定しているが、まだ仕訳は起きていない金額)」をCO上で追跡する機能。プロジェクト予算管理で予算消化状況をリアルタイムに把握するために重要。

  • 購買依頼(PR)発行時:コミットメント(予約)として計上

  • 購買発注(PO)発行時:コミットメントを確定コミットメントに変換

  • 入荷・請求書照合時:コミットメント解除+実際コスト計上

【予算管理との連携】 OKKP でコミットメント管理を有効化 → OPS1プロジェクトプロファイルで予算管理フラグON → CJ30で予算登録 → OPBK可用性チェック設定。この4ステップが揃って初めて「購買発注時に予算超過をブロック」が機能する。

7-5 Universal Journal(ACDOCA)とPS連携

S/4HANAではFI・CO・MMの全仕訳がACDOCAテーブルに統合されている。WBS要素への費用転記はリアルタイムでACDOCAに記録され、ACDOCA上でWBS要素・G/L勘定・利益センタ・原価センタが同時に参照可能になる。

従来(ECC)の制約 S/4HANA(Universal Journal)での改善
CO-FI差異:COの原価要素とFIのG/L勘定が別テーブル ACDOCAで一本化。CO-FI差異調整(KE5Z等)が不要
WBS残高のリアルタイム確認が遅い 仕訳発生の瞬間にWBS残高が更新される
CO-PA転記が月次バッチ 実績転記と同時にCO-PAも更新

第8章 MD51(プロジェクトMRP)の実行

8-1 MD51とMD01Nの違い

比較項目 MD01N(通常MRP) MD51(プロジェクトMRP)
対象範囲 プラント全体 指定したプロジェクト/WBS要素
所要量の起点 独立所要量(計画)+従属所要量 WBS要素の資材所要量(ネットワーク材料・受注連携)
在庫の扱い プラント在庫全体を参照 Q在庫(WBS要素紐付き)を個別参照
生成される計画手配 プラント共通の計画手配 WBS要素に紐付いた計画手配
使用場面 量産品(MTS/ATO) 製番管理(MTO/ETO)のプロジェクト品目

8-2 MD51の実行手順

MD51 プロジェクトMRPの実行

パラメータ 設定値(推奨) 意味
プロジェクト 対象プロジェクトID 特定プロジェクトのWBS要素のみを処理
処理範囲 WBS要素指定可能 フェーズ別に分けてMRPを回せる
処理キー NETCH(全変更対象) 初回はNETCH、2回目以降はNETCDが効率的
計画手配の作成 2(即座に作成) 1(計画実行のみ)と使い分け
スケジューリング 1(基本日程計算) ネットワーク活動がある場合は2(能力計画)も選択
購買依頼の作成 2(即座に購買依頼) 1(計画手配のみ)との差異に注意

☞ MD51は対象プロジェクトのWBS要素配下の全品目を展開するため、初回実行では大量の計画手配が生成されることがある。本番実行前に必ずテストプロジェクトで実行し、展開結果(MD04)を確認してから本番適用すること。

8-3 MD51実行後の確認

MD04 在庫/所要量リスト(WBS要素指定)

MDBS 計画実行の例外メッセージ確認

MD16 計画手配の確認・確定(購買発注・製造指図への変換)

【例外メッセージ】 MD51実行後に例外メッセージ(遅延・過剰在庫・キャパシティ不足等)が大量に出る場合は、計画パラメータ(リードタイム・BOM設定)の見直しが必要。まず小規模プロジェクトでテスト実行することを推奨。

第9章 Q在庫(プロジェクト在庫)の管理

9-1 Q在庫とは

Q在庫(Project Stock)は、WBS要素またはネットワーク活動に紐付いた専用在庫である。同じ品目でもWBS要素が異なれば別の在庫として管理され、他プロジェクトの需要に充当することはできない。

在庫種別 管理単位 他プロジェクトへの転用 決算時の扱い
通常在庫(自社在庫) プラント+保管場所 可能 プラント在庫として継続保有
Q在庫(プロジェクト在庫) WBS要素 不可(原則) CJ88での決算時にプロジェクト費用に振替
販売注文在庫(E在庫) 受注番号+明細 不可(原則) 受注完了時に費用計上

9-2 Q在庫の主要移動タイプ

移動タイプ 内容 トランザクション
101Q 購買発注からの入庫(Q在庫へ) MIGO(入庫)
261Q 製造指図への材料払出(Q在庫から) MIGO(払出)
281Q ネットワーク活動への材料払出(Q在庫から) MIGO(払出)
411Q Q在庫→通常在庫転換 MIGO(移動タイプ指定)
412Q 通常在庫→Q在庫転換(既存在庫のプロジェクト割当) MIGO(移動タイプ指定)
551Q プロジェクト在庫の廃棄 MIGO(廃棄)

9-3 Q在庫の残高確認

MB52 倉庫在庫リスト(Q在庫フィルタ可)

MB53 プラント/保管場所別在庫リスト

MD04 在庫/所要量リスト(WBS要素指定)

CJI3 プロジェクト実績ラインアイテム(原価集計含む)

第10章 SDとの統合(受注→WBS連携)

10-1 受注伝票とWBS要素の紐付け

受注伝票(VA01)の明細勘定割当タブでWBS要素を指定することで、売上・コストが当該WBS要素に紐付いて転記される。

受注明細項目 製番MRP向け設定
品目カテゴリ TAP(プロジェクト品目)または TAK
勘定割当カテゴリ Q(プロジェクト在庫出荷)またはP(直接費用計上)
WBS要素 請求要素のWBS要素IDを入力(OPSAで「請求要素」フラグONのもの)
スケジュール行カテゴリ CQ(Q在庫参照)

10-2 受注連携の2つのパターン

パターン1:受注伝票直結(販売注文在庫)

WBS要素を使わず、受注番号をキーに在庫・調達を個別管理するパターン(SOI方式)。小規模・短工程の受注品に向く。製番MRPではなく受注MRP(PP)が起点。

パターン2:WBS経由(製番MRP)

受注伝票にWBS要素を紐付け、MD51でMRP展開を行うパターン。工程が多く・長期の ETO/MTO プロジェクトに適する。

比較項目 パターン1(SOI) パターン2(WBS製番MRP)
在庫管理 受注番号紐付き(E在庫) WBS要素紐付き(Q在庫)
MRP起点 受注伝票明細 WBS要素の材料所要量
複数工程の管理 困難(単一指図が主) 可能(ネットワークで工程管理)
原価管理 受注別原価(CO-PC) WBS要素別原価(PS)
向いている案件 短工程の受注品(金型・単品部品等) 長工程のプロジェクト(プラント・装置等)

10-3 SDとPSの勘定割当フロー

業務イベント 転記先 仕訳(簡略)
入荷(101Q) Q在庫(B/S資産) 借:Q在庫 / 貸:GR/IR仮払
請求書照合(MIRO) GR/IR解消 借:GR/IR仮払 / 貸:買掛金
出荷(VL01N) WBS要素(売上原価) 借:売上原価 / 貸:Q在庫
請求書発行(VF01) WBS要素(売上) 借:売掛金 / 貸:WBS売上
WBS決算(CJ88) G/L勘定/利益センタ 借:費用 / 貸:仕掛品

【勘定割当カテゴリ】 受注明細の「勘定割当カテゴリ」をQ(プロジェクト在庫)に設定することで、出荷時にQ在庫が自動消費される。SDコンフィグ側でQカテゴリを品目カテゴリ・スケジュール行カテゴリと正しく組み合わせること(第6章参照)。

第11章 MMとの統合(調達フロー)

11-1 プロジェクト向け購買発注

製番MRPで生成された購買依頼は、通常のMM購買フローと同じくME21N(またはME59N自動変換)で購買発注に変換される。ただし、WBS要素が勘定割当先に自動設定される点が通常発注と異なる。

購買発注項目 製番MRP向け設定 備考
勘定割当カテゴリ Q(プロジェクト在庫)または P MD51展開時に自動設定される
WBS要素 該当WBS要素ID MD51展開時に自動設定される
納入日 MD51で計算された予定日 ネットワーク活動の日程に連動
入荷先保管場所 プロジェクト専用保管場所(推奨) Q在庫管理の可視化のため

11-2 勘定割当カテゴリ「Q」と「P」の使い分け

カテゴリ 在庫計上 費用計上タイミング 使用例
Q(プロジェクト在庫) Q在庫として計上 払出時(261Q/VL01N時) 部品・材料・半製品(在庫管理が必要なもの)
P(プロジェクト直接) 計上なし 入荷・請求書照合時に直接費用 役務費・外注費・仮設材料(在庫化しないもの)

11-3 外注との統合

製番MRPプロジェクトで一部工程を外注する場合(PP-302:工程外注)、外注発注もWBS紐付きで処理する。

ME21N 外注発注(勘定割当P + WBS要素指定)

MIGO(移動タイプ541) 自社材料を外注先へ支給出荷

MIGO(移動タイプ101) 外注加工品の受入

MIRO 外注加工費の請求書照合(WBSへ費用計上)

11-4 長納期品の先行発注

プロジェクト受注確定前に、長納期の主要資材を先行手配する必要がある場合がある。

  • 先行発注段階:勘定割当カテゴリ「K(原価センタ)」で仮発注 → 受注確定後にWBS要素(Q)に変更

  • または:プロジェクト仮番(dummy WBS)で先行発注 → プロジェクト確定後に本WBSに振替

☞ 先行発注した材料の入庫をQ在庫として管理する場合、購買発注の勘定割当変更(Q→Q)が必要。入荷後は変更不可のため、入荷前に必ずWBS要素を正しいものに変更すること。

第12章 PPとの統合(製造指図展開)

12-1 プロジェクト向け製造指図

MD51展開で生成される計画手配(製造)は、CO40(一括)またはCO01(個別)で製造指図に変換される。製番MRP向け製造指図には以下の特徴がある。

製造指図の属性 内容 通常MTO指図との違い
勘定割当 WBS要素(必須) 受注SOIではE在庫。Q在庫を使うWBS紐付きがPS製番MRPの特徴
指図タイプ PP02等(OPL8で設定したPS向けタイプ) 量産品とは別タイプを使用推奨
Q在庫入庫 MB31(移動タイプ101Q)でQ在庫へ 通常MTO指図はE在庫への入庫
コスト集計 製造指図コスト→CO88でWBS要素へ決算 プロジェクト原価にロールアップされる

12-2 製造指図とWBS要素の原価フロー

フロー 処理内容 T-Code
①材料払出 Q在庫→製造指図へ払出(移動タイプ261Q) MIGO
②工数入力 作業実績(CO11N)→活動単価×工数でWBSへ転記 CO11N / CATS
③外注工程 外注費→製造指図へ計上 MIRO
④完成品入庫 製造指図から完成品をQ在庫へ入庫 MB31(101Q)
⑤製造指図決算 製造指図コスト残高→WBS要素へ振替(CO88) CO88
⑥WBS決算 WBS要素の仕掛残高→G/Lへ振替(CJ88) CJ88

12-3 BOMとルーティングの設計上の注意

  • プロジェクト専用品目と標準品目のBOM構造を明確に分離すること。製番MRP品目のBOM部品にQ在庫管理が必要なものと不要なものが混在すると、特殊調達キーの設定が複雑になる。

  • 製造バージョン(C223):同一品目でプロジェクトごとに異なるBOM・ルーティングを使う場合に利用。製番ごとの仕様変更を管理できる。

  • ETO案件ではBOM・ルーティングが受注確定後に作成されることが多い。MD51実行前にBOM・ルーティングが登録されていないと展開できないため、設計完了→マスタ登録→MD51実行の順序管理が重要。

C223 製造バージョンの設定

CS61 プロジェクト専用BOMの作成

第13章 SD・MM・PP統合フロー全体像

13-1 ETO/MTO製番MRPの端から端まで

ステップ 業務 主なT-Code モジュール ポイント
①受注取得 引合・見積 VA21/VA01 SD 見積時に概算コスト見積もりを作成(CJ20N仮プロジェクト)
②WBS作成 プロジェクト構造設定 CJ01/CJ20N PS MRP関連フラグ付きWBS要素を登録(OPSAで設定したプロファイルを使用)
③予算登録 プロジェクト予算承認 CJ30 PS WBS要素ごとに原価予算を設定(OPBK可用性チェックの起点)
④受注確定 受注伝票にWBS要素を設定 VA01 SD 品目カテゴリTAP+スケジュール行CQ+勘定割当Qを設定
⑤BOM/ルーティング登録 設計完了後にマスタ登録 CS61/CA01 PP MD51展開の前提。ETO案件では設計リードタイムに注意
⑥MD51実行 プロジェクトMRP展開 MD51 PP/PS 計画手配(購買依頼・製造計画)をWBS要素ごとに生成
⑦購買発注 購買依頼→購買発注 ME21N/ME59N MM 勘定割当QでWBS要素指定。予算チェック(OPBK)が実行される
⑧入荷 Q在庫への入庫 MIGO(101Q) MM Q在庫として帳簿計上。OBYC/BSXで自動仕訳
⑨製造指図 製造指図作成・実行 CO01/CO11N PP WBS紐付き指図タイプを使用(OPL8で設定したもの)
⑩Q在庫払出 製造指図への払出 MIGO(261Q) MM Q在庫から製造指図へ材料を払い出し
⑪製造完了入庫 完成品をQ在庫へ MB31(101Q) PP/MM Q在庫に完成品が入庫。出荷待ち状態
⑫製造指図決算 製造指図コスト→WBSへ CO88 PP/CO 製造指図の原価残高をWBS要素に振替
⑬出荷 Q在庫から顧客へ出荷 VL01N SD CQスケジュール行でQ在庫を参照・消費
⑭請求書発行 売上請求書 VF01 SD VKOA設定でWBS要素に売上を自動転記
⑮月次決算 収益認識・WBS決算 VF44/CJ88 PS/CO 工事進行基準(OKG1設定)+WBS決算で仕掛を解消

13-2 モジュール間インタフェースのポイント

連携 重要ポイント
SD→PS(受注→WBS) 受注明細の勘定割当カテゴリQとWBS要素IDの設定が接続の核心
PS→PP(WBS→製造指図) MD51展開後、計画手配をCO40で指図に変換。指図タイプにWBS紐付き設定が必要
PP→MM(製造指図→Q在庫) 移動タイプ261Q/281Q/101Qを正しく使い分ける。OMJJ設定を確認
MM→FI(入出庫→仕訳) OBYCの自動仕訳設定。BSX(入庫)・WRX(GR/IR)・GBB(払出)が正しいG/L勘定に紐付いているか
PS→CO(WBS→収益認識) VF44(収益認識)とCJ88(WBS決算)の実行順序。OKG1/OKG8の設定が前提

第14章 トラブルシュートと運用上の注意点

14-1 よくある設定ミスと対処

現象 原因 確認箇所 対処
MD51実行しても計画手配が生成されない 品目マスタMRP2ビューの所要量管理区分が「2(集団)」 MM03でMRP2ビューを確認 MM02で所要量管理区分を「1(個別)」に変更
同上 特殊調達キーが未設定またはQ在庫用でない MM03でMRP2ビュー特殊調達キーを確認 特殊調達タイプをIMGで定義し、品目マスタに設定
同上 WBS要素のMRP関連フラグがOFF CJ20N でWBS要素の属性を確認 OPSAでプロファイルのMRP関連フラグをONに設定し、WBS要素に再適用
入庫がQ在庫にならず通常在庫に入る MIGO入力時にWBS要素を指定していない MIGO伝票の勘定割当タブを確認 MIGO入力時に勘定割当タブのWBS要素を必ず入力。または購買発注の段階でQカテゴリ+WBSを指定
購買発注発行時に予算エラーが出ない(チェックが動かない) OKKP/OPS1/OPBK/CJ30の設定が揃っていない 各設定を順番に確認 第3章7-1の設定依存関係の表を参照し、設定の抜けを確認
製造指図コストがWBS要素に集計されない CO88(製造指図決算)の決算ルールにWBS要素が未設定 CO03(製造指図表示)の決算ルールタブを確認 指図タイプの決算ルール自動設定を確認(OPL8で設定した指図タイプの決算設定)
VF44(収益認識)を実行しても計算結果が0円 OKG1の収益認識メソッドが未設定またはOKG8バージョンと紐付いていない OKG1/OKG8を確認 メソッド「02(原価ベースPOC)」をOKG8バージョンに紐付け、WBS要素に適用
プロジェクト完了後もB/Sに仕掛品残高が残る CJ88(WBS決算)を実行していない CJI3でWBS残高を確認 CJ88(最終決算)を実行して仕掛残高をゼロ化

14-2 月次運用チェックリスト

  • □ MD51を必要なプロジェクトに対して実行したか

  • □ 計画手配の例外メッセージを確認・対処したか(MDBS)

  • □ Q在庫の過剰・不足を確認したか(MB52/MD04)

  • □ 製造指図の未決算残高を確認・CO88を実行したか

  • □ VF44(収益認識)を実行したか(工事進行基準対象プロジェクト)

  • □ CJ88でWBS要素の決算を実行したか

  • □ プロジェクト予実差異レポートを確認したか(S_ALR_87013532)

  • □ コミットメント管理残高(購買依頼/PO残)が予算に収まっているか確認したか

14-3 プロジェクトキャンセル時の処理

MD16 計画手配の手動削除

ME22N 購買発注の変更・取消

MIGO(411Q) Q在庫を通常在庫に転換

CO78 製造指図の取消・廃棄

CJ88 最終決算(仕掛残高をゼロへ)

CJ20N WBS要素のステータスをTECO→CLSDへ

☞ キャンセルプロジェクトのWBS要素に未決算残高(仕掛品)が残ったまま会計期間をまたぐと、B/S上に誤った残高が計上される。キャンセル確定後は速やかに全決算処理を実施すること。

付録A 製番MRP SPRO設定チェックリスト

No. モジュール 設定内容 T-Code/IMGパス 完了
1 PS プロジェクトプロファイル作成(製番MRP用) OPS1
2 PS WBS要素プロファイル作成(MRP関連フラグON) OPSA
3 PS ネットワークプロファイル設定 OPS2
4 PS 予算プロファイル設定(可用性チェック) OPBK
5 PS 決算プロファイル設定 OKO7
6 PS プロジェクト定義番号範囲 CJ82
7 PP MRPコントローラ(PS専用)作成 OMD0
8 PP 特殊調達タイプ定義(Q在庫用 40/70/71等) IMG(PP>MRP>マスタデータ>特殊調達タイプ)
9 PP 日程計画パラメータ設定 CPU3
10 PP 製造計画プロファイル作成 OPKP
11 PP 指図タイプ/プラント割当(PS向け指図タイプ) OPL8
12 PP 生産スケジューリングプロファイル OPPQ
13 MM 勘定割当カテゴリQ設定(WBS要素フィールド必須) OME9
14 MM 移動タイプ確認(101Q/261Q/281Q/411Q) OMJJ
15 MM 自動仕訳設定(BSX/WRX/GBB) OBYC
16 MM 評価クラス設定(Q在庫専用) OMSK
17 MM 許容範囲設定 OMR6
18 SD 受注伝票タイプ設定(WBS勘定割当対応) IMG(SD>販売>受注タイプ)
19 SD 品目カテゴリ設定(TAP/Q在庫対応) VOV7
20 SD スケジュール行カテゴリ設定(CQ) VOV6
21 SD 自動仕訳設定(VKOA) VKOA
22 CO 管理領域有効化(コミットメント・PS・CCA) OKKP
23 CO 収益認識メソッド設定(POC法) OKG1/OKG8
24 CO 初期勘定割当設定 OKB9

付録B 製番MRP 主要トランザクション一覧

カテゴリ T-Code 内容
品目マスタ MM02/MM03 品目マスタ変更/表示(MRPビュー:所要量管理区分・特殊調達キー)
WBS設定 CJ01/CJ20N プロジェクト・WBS要素作成(MRP関連フラグ設定)
OPSA WBS要素プロファイル設定
CJ30 プロジェクト予算登録
MRP実行 MD51 プロジェクトMRP実行
MD16 計画手配の確認・確定(指図/発注変換)
MD04 在庫/所要量リスト(WBS指定)
MDBS MRP例外メッセージ確認
購買 ME21N 購買発注(勘定割当Q/P、WBS指定)
ME59N 購買依頼→購買発注の自動変換
MIGO(101Q) 入庫(Q在庫)
MIRO 請求書照合
MRRL ERS自動精算
製造 CO01/CO40 製造指図作成(WBS紐付き)
CO11N 製造指図活動確認
MIGO(261Q) 製造指図向けQ在庫出庫
MB31(101Q) 製造完了品のQ在庫入庫
CO88 製造指図決算(WBS要素へ振替)
在庫 MB52 倉庫在庫リスト(Q在庫含む)
MB53 プラント/保管場所別在庫リスト
MIGO(411Q) Q在庫→通常在庫転換
決算・収益 CJ88 WBS要素決算
VF44 収益認識実行(工事進行基準)
S_ALR_87013532 プロジェクト予実比較
CJI3 プロジェクト実績ラインアイテム