引き合いから請求まで:受注タイプ別トランザクション操作とコンフィグレーション詳解
2026年6月
SAP SD(Sales and Distribution:販売管理)は、顧客との商取引の全プロセス——引き合い・見積・受注・出荷・請求・代金回収——をシステム上で管理するモジュールです。SDは単なる「注文管理システム」ではなく、価格設定・与信管理・在庫引当・物流統制・収益計上・管理会計連携を横断する「売上サイクルのコントロールタワー」として機能します。
SDが適切に設計されていない企業では、「見積段階で約束した価格が受注時に変わっている」「出荷指示が自動化されず手動対応が多発する」「請求漏れ・二重請求が発生する」「顧客別の取引条件が属人的に管理される」という問題が生じます。SAP SDはこれらを業務プロセスとシステムの統合によって解決します。
本稿ではSDの標準的な受注フローのみならず、実務でよく発生する特殊受注タイプ(サービス・第三者発注・コンサイメント・返品等)まで踏み込み、トランザクション操作とSPROコンフィグレーションの両面から詳細に解説します。
SDはFI(財務会計)・CO(管理会計)・MM(資材管理)・PP(生産管理)・WM(倉庫管理)・PS(プロジェクト管理)と密接に統合されています。
SD↔︎FI:請求書転記(VF01)時に売上計上・売掛金計上の仕訳が自動生成されます。与信限度額(FD32)はFIの与信管理と連動し、与信超過時に受注・出荷をブロックします。
SD↔︎CO:請求書転記時にCO-PA(収益性分析)へ収益・原価・割引等が自動転記されます。MTO(受注生産)では受注明細が原価対象(Cost Object)としてCO-PCと連携します。
SD↔︎MM:在庫確認(ATP:Available-to-Promise)・出荷時の在庫減少・第三者発注時の購買依頼自動生成・返品時の入庫処理がMMと連動します。
SD↔︎PP:受注生産(MTO)では受注明細から計画独立要求または製造オーダーが自動生成されます。
SD↔︎WM:WMS(倉庫管理)連携環境ではピッキング指示・搬送指示がSDの出荷指示から自動生成されます。
SDの組織単位は「販売組織(Sales Organization)→流通チャネル(Distribution Channel)→製品部門(Division)」の三層で構成されます。この三層の組み合わせを「販売エリア(Sales Area)」と呼び、すべての販売取引は特定の販売エリアに帰属します。
販売組織(Sales Organization):法的な販売責任を持つ組織単位。会社コードに紐付きます。例:「1000:日本販売組織」。
流通チャネル(Distribution Channel):販売の経路。例:「10:直販・20:代理店・30:EC」。価格設定・得意先マスタの条件は流通チャネル別に定義できます。
製品部門(Division):製品ライン。例:「01:電子機器・02:産業機器」。品目マスタの販売データに設定されます。
販売事務所(Sales Office)・販売グループ(Sales Group):任意の補助組織。営業担当者の所属管理・レポートに使用します。
引き合い(Inquiry)は「顧客が正式な購入を決める前に、製品・サービスの情報や概算価格を問い合わせる」段階の伝票です。法的拘束力はなく、後続の見積(Quotation)・受注(Sales Order)の出発点として機能します。引き合いをシステムで管理することで「商談の進捗状況の可視化・過去引き合いの再利用・成約率の分析」が可能になります。
VA11(引き合いの作成)を起動します。伝票種類に「IN(標準引き合い)」を選択し、販売組織・流通チャネル・製品部門を入力してEnterを押します。
ヘッダデータ:得意先コード(Sold-to Party)・希望納期・発注番号(顧客の社内管理番号)・有効期間(引き合いの有効日)を入力します。
明細データ:品目コード・数量・希望単価(任意)を入力します。SAPは品目の標準価格(条件レコード)を自動取得して価格を表示します。
VA12(引き合いの変更)・VA13(引き合いの表示)・VA15(引き合い一覧):基本操作はすべての伝票タイプで共通の「作成/変更/表示/一覧」パターンです。
見積(Quotation)は引き合いに対して「価格・納期・数量の確約」を含む正式な提案書です。見積には有効期間が設定され、期間内に受注に転換されなければ失効します。見積から受注への転換時にコピーコントロール(VTAA)の設定に基づいてデータが引き継がれます。
VA21(見積の作成)を起動します。伝票種類「QT(標準見積)」を選択し、「参照伝票(Reference Document)」欄に引き合い番号を入力すると引き合いの内容がコピーされます。引き合いなしで新規作成することも可能です。
有効期間の設定:見積ヘッダの「有効開始日(Valid-From)」と「有効終了日(Valid-To)」を設定します。有効期間外に受注へ転換しようとするとシステムが警告を発します。
価格の確定:見積の価格は条件レコード(VK11)から自動取得されますが、ネゴシエーションにより手動調整することも可能です。手動調整した価格差異は価格分析画面(条件画面のManual条件)に記録されます。
VA25(見積一覧):得意先・期間・販売組織等の条件で未転換の見積を一覧表示します。成約率の管理や失効見積のフォローアップに使用します。
見積の受注転換:VA01(受注の作成)の参照伝票欄に見積番号を入力すると、見積データが受注に自動コピーされます。見積の参照数量と受注数量が管理されます(一部転換・全量転換)。
受注(Sales Order)は「顧客が特定の製品を特定の数量・価格・納期で購入することを合意した伝票」です。SAP SDの伝票タイプ(Document Type)は業務用途に応じて複数が定義されます。主要な標準受注タイプを示します。
OR(標準受注):最も一般的な量産品の受注。在庫引当→出荷→請求の標準フローで処理されます。
RO(修理受注 / Repair Order):修理・メンテナンスサービス向け。CS(Customer Service)モジュールと連携します。
KE(コンサイメント出庫)・KA(コンサイメント回収):コンサイメント取引向け(後述)。
RE(返品):顧客からの返品受付。逆フローで在庫入庫と売上取消が処理されます。
CR(クレジットメモ依頼)・DR(デビットメモ依頼):請求金額の増減調整。
SAP受注は「ヘッダ(Header)→明細(Item)→スケジュール行(Schedule Line)」の三層構造を持ちます。
ヘッダ:全明細に共通する情報(得意先・販売組織・入金条件・全体ステータス等)。
明細:品目ごとの情報(品目番号・数量・価格・品目カテゴリ・出荷工場等)。
スケジュール行:明細の「いつ・何個を納品するか」の納期分割情報。複数の納期を一明細に設定できます。
VA01(受注の作成)を起動し、伝票種類「OR」を選択して販売エリア(販売組織/流通チャネル/製品部門)を入力してEnterを押します。
ヘッダタブ:Sold-to Party(受注先)・Ship-to Party(出荷先)を入力します。得意先コード入力でマスタデータ(住所・入金条件・与信限度額・得意先グループ等)が自動引当されます。「顧客の発注書番号(PO Number)」「顧客の希望納期(Req. Delivery Date)」を入力します。
明細タブ:品目コード・受注数量を入力します。Enterを押すと品目マスタの「販売ビュー(MRP・出荷工場・品目グループ)」が自動引当され、価格条件が自動計算されます。
ATP確認(在庫確認):明細入力後にSAPが自動でATP(Available-to-Promise)チェックを実行し、要求納期での出荷可否と確認納期(Confirmed Delivery Date)をスケジュール行に表示します。在庫不足の場合は代替納期が提案されます。
価格分析(Conditions Tab):明細の「条件(Conditions)」タブで「基本価格(PR00)→数量割引(K007)→特売割引→小計→消費税(MWST)→合計請求金額」という価格積上の内訳が確認できます。
保存(Ctrl+S):保存時にSAPが与信チェック(FD32設定の与信限度額との比較)を自動実行します。与信超過の場合、警告(注意)または与信ブロック(出荷ブロック)が設定されます。
VA02(受注の変更):受注後の数量変更・納期変更・品目追加等を行います。変更履歴(Change Log)がシステムに記録されます。
VA03(受注の表示)・VA05(受注一覧):VA05では得意先・期間・品目・ステータスで受注を絞り込んで一覧表示します。「未出荷受注・未請求受注」等のフィルタが実用的です。
ステータス管理:受注の「全体ステータス」は「明細の出荷ステータス・請求ステータス・拒否理由」の組み合わせで自動更新されます。「全量出荷完了かつ全量請求完了」になると全体ステータスが「完了(C)」になります。
出荷(Delivery)は受注の明細を実際に顧客へ送り出すプロセスです。SAP SDでは出荷指示(Outbound Delivery)伝票を作成し、「ピッキング→梱包→品目実績記録(Goods Issue:GI)」の流れで在庫を出庫します。GI転記が物理的な在庫減少と財務転記(在庫/売上原価)の起点になります。
VL01N(出荷指示の作成)を起動します。「出荷タイプ(Shipping Type)」・「出荷日(Ship Date)」・「出荷箇所(Shipping Point)」を入力して参照受注番号を指定します。または「VL10A(受注からの一括出荷指示作成)」で複数受注を一括処理します。
明細タブ:受注明細が自動コピーされます。出荷数量の調整(一部出荷の場合は数量を変更)が可能です。
ピッキング:「ピッキング(Picking)」タブで保管場所からの出荷数量を確定します。WMシステムと連携する場合は「移転指図(Transfer Order:LT0A)」が自動生成されてWMでピッキングが指示されます。WM非連携の場合はVL02Nの画面上で直接ピッキング数量を入力します。
梱包(Packing):「梱包(Packing)」タブで出荷品の梱包単位(ケース・パレット)を設定します。HU(ハンドリングユニット)管理が有効な場合はHUを作成します。
品目実績記録(GI:Goods Issue):VL02N→「品目実績記録(Post Goods Issue)」ボタンをクリックします。GI転記と同時に「在庫勘定 Cr / 売上原価(COGS)勘定 Dr」の仕訳が自動生成され、在庫が減少します。GI後は出荷伝票の変更・キャンセルができません(キャンセルにはVL09(GI取消)が必要です)。
VL06O(出荷処理モニタ):GI未完了の出荷指示を一覧し、ステータス別(ピッキング待ち・梱包待ち・GI待ち)にフィルタして確認できます。出荷担当者の日常業務の起点になる画面です。
VT01N(輸送の作成):複数の出荷指示を一つの「輸送(Shipment)」にまとめて、配送業者への委託・配送コスト管理・追跡を行います。輸送モジュール(LE-TRA)を活用する企業では出荷から輸送への連携が重要です。
FD32(与信限度額の設定):得意先の与信限度額・与信リスクカテゴリ(高/中/低)・与信チェックの制御(受注時/出荷時に与信チェックを行うか)を設定します。
与信ブロック解除(VKM3/VKM1):与信超過で出荷ブロックがかかった出荷指示は与信担当者がVKM3で確認・解除します。VKM1は与信ブロック付き受注の解除です。
請求(Billing)はSDサイクルの最終ステップです。出荷(GI転記済み)または受注(前払い請求等)を参照して請求書を作成し、顧客への売上債権を確定します。請求書転記と同時にFI(財務会計)・CO-PA(収益性分析)への自動転記が実行されます。
VF04(請求対象の処理):GI転記済み出荷で未請求のものを一覧表示し、一括で請求書を作成します。日次の請求バッチ処理として運用するケースが多いです。
VF01(請求書の個別作成):参照伝票(出荷番号・受注番号)を指定して個別に請求書を作成します。特殊な価格調整や手動請求が必要な場合に使用します。
請求書転記のFI仕訳:VF01保存と同時に「売掛金 Dr / 売上高 Cr・消費税 Cr」の仕訳が自動生成されます。
CO-PA転記:請求書転記時にCO-PAへ「収益・売上割引・標準原価(COGS)」が収益性セグメントに転記されます(KE4U/KE4Wの設定が前提)。
VF05(請求書一覧):得意先・期間・請求書種類・ステータスで請求書を検索します。「会計転記済み・未転記・エラー」等のステータスフィルタで処理状況を管理します。
VFX3(請求書ブロックの処理):価格エラー・与信問題等で請求ブロックがかかった請求書を確認・解除します。
請求書キャンセル(VF11):誤った請求書をキャンセルします。キャンセル時に逆仕訳(Cancellation Document)が自動生成されます。
サービス受注は「製品(物)ではなく役務(サービス)を顧客に提供する取引」を管理する受注タイプです。設備メンテナンス・コンサルティング・ソフトウェア保守・研修・修理等がサービス受注の対象です。物品販売と異なり「出荷(在庫の物理的移動)は発生しない」か「在庫を使いながらサービスも提供する」という形になります。
サービスの品目カテゴリ(Item Category)はサービスの性質によって使い分けます。
SRVP(Service):サービス品目。出荷指示を作成せず、サービスの確認(Service Confirmation)で完了処理を行います。工数・時間ベースのサービスに使用します。
TAD(サービス:デリバリなし):出荷を生成しない純粋な役務提供品目。請求書はサービス提供後に直接受注から作成します。
TAX(テキスト品目):価格を持たない説明行。見積・受注での注記に使用します。
LEIS(マイルストーン請求サービス):プロジェクト型サービスでマイルストーン(完了率や日付)に基づいて段階的に請求する品目カテゴリです。PSモジュールのWBSマイルストーンと連携します。
VA01でサービス向け受注タイプ(例:「TA」または専用タイプ「DS」等の顧客定義タイプ)を選択します。
明細に「サービス品目(品目タイプ = I(役務)またはS(サービス)に設定された品目マスタ)」を入力します。サービス品目は在庫管理されないため品目マスタに「在庫管理なし」が設定されます。
サービス数量は「時間(h)・日(day)・件数」等の単位で入力します。
サービスの完了確認(Service Confirmation):サービス提供後にVA02で完了日・実績工数を入力するか、CS(Customer Service)モジュールのサービス確認伝票で完了記録を行います。
請求は完了確認後にVF04で請求対象として処理されます。出荷指示は作成されません。
定期的なサービス(年間保守・月次点検・ソフトウェア保守)は「サービス契約(Service Contract)」として管理し、契約期間中の定期請求を自動化します。
VA41(契約の作成):伝票種類「WV(サービス契約)」で保守契約を作成します。契約期間・対象品目・月次請求金額・請求スケジュール(月次自動請求ルール)を設定します。
自動請求:契約の請求計画(Billing Plan)に基づき、設定した期日に自動的に請求書が生成されます。VF04で処理するか、バックグラウンドジョブで自動実行します。
VBOF(請求計画更新):契約期間の延長や条件変更時に請求計画を更新します。
大型プロジェクト型のサービス案件(システム導入・建設・エンジニアリング)では、SDの受注とPSのプロジェクト(WBS要素)を連携させます。
受注明細をPSのWBS要素に紐付けることで、プロジェクトへの費用・収益を一元管理します。
マイルストーン請求(Milestone Billing):WBSのマイルストーン(例:「基本設計完了」「本番稼働完了」)が達成されると請求書発行が可能になります。受注明細の「請求計画(Billing Plan)」にマイルストーン条件を設定します。
未完成工事収益:プロジェクト進捗率に基づく「完成基準(Percentage of Completion)」での収益認識はSDの請求計画とCO-PC(受注別原価)の組み合わせで設計します。
第三者発注(Third-Party Order / 間接仕入)は「顧客からの受注を受け、自社在庫ではなく仕入先(サプライヤー)から顧客へ直接納品させる」取引形態です。自社倉庫に在庫を持たず、仕入先→顧客の直送により在庫リスクと物流コストを削減できます。商社・卸売業・カタログ販売で多用されます。
第三者発注のフローは「受注(VA01)→購買依頼自動生成(ME51N)→発注(ME21N)→入荷確認(MIGO/MLGF)→仕入先請求書(MIRO)→顧客への請求(VF01)」です。
品目カテゴリ TAS(Third-party):第三者発注品目の品目カテゴリ。この品目カテゴリを選択すると、受注保存時に「購買依頼(PR:Purchase Requisition)」が自動生成されます。
スケジュール行カテゴリ CS:第三者発注のスケジュール行カテゴリ。「在庫ありの通常出荷(CP)」ではなく「購買依頼生成(CS)」を指定します。
品目マスタ設定:第三者発注品目の品目マスタの「MRP Type = ND(MRPなし)」または「Procurement Type = F(外部調達)」を設定します。
Step 1 受注(VA01):伝票種類OR・品目カテゴリTASで受注を作成します。保存時に購買依頼(PR)が自動生成されます。
Step 2 購買依頼確認(ME53N):ME53Nで自動生成された購買依頼を確認します。「得意先の納品先住所(Ship-to Address)」が購買依頼の納品先に転写されていることを確認します。
Step 3 発注作成(ME21N):ME57(ソース決定と発注割当)またはME21Nで購買依頼から発注書(PO)を作成します。仕入先・発注価格・納期・納品先(顧客住所)を確認します。
Step 4 入荷確認(MIGO):仕入先から顧客への納品が完了したことを仕入先からの通知(出荷通知・納品書)に基づいてMIGO(入荷転記:移動タイプ101)で記録します。第三者発注では実際の入荷は顧客先で発生するため「非在庫入荷(Non-valuated)」または「顧客向け在庫」として処理します。
Step 5 仕入先請求書(MIRO):仕入先から受領した請求書をMIROで照合・転記します。MIRO転記により「仕入原価(COGS)」が確定します。
Step 6 顧客請求(VF04/VF01):MIRO転記後に顧客への請求書をVF04/VF01で作成します。仕入原価確定後に請求することで、受注段階でのマージン試算と実績マージンの照合が可能です。
MIRO転記時:「仕入原価(COGS)勘定 Dr / 買掛金 Cr」が計上されます。
VF01転記時:「売掛金 Dr / 売上高 Cr・消費税 Cr」が計上されます。
損益:売上高 − 仕入原価 = 取引マージン(売上総利益)がCO-PAにも転記されます。
コンサイメント(Consignment)は「自社の在庫を顧客の倉庫(コンサイメント倉庫)に預け、顧客が実際に使用(出庫)した分だけ売上を計上する」取引形態です。医薬品・部品・消耗品メーカーが顧客の在庫リスクを肩代わりする形でサプライチェーンを支援する場合に多用されます。
SAP SDのコンサイメント管理は「コンサイメント出荷(Fill-up)→顧客使用(Issue)→残品回収(Pickup)→返品(Return)」の四フェーズで管理します。すべてのフェーズで専用の伝票タイプと品目カテゴリが使用されます。
フェーズ1 コンサイメント出荷(Fill-up):伝票タイプ「KB」・品目カテゴリ「KBN」。自社在庫から顧客コンサイメント倉庫への移動。この時点では売上は計上されません(所有権は自社のまま)。在庫はMMの「顧客別特別在庫(Customer Consignment Stock)」として管理されます。
フェーズ2 コンサイメント出庫(Issue):伝票タイプ「KE」・品目カテゴリ「KEN」。顧客がコンサイメント在庫を実際に使用(消費)した際に売上を計上します。顧客から使用報告を受領し、この伝票で請求書(VF01)を発行します。
フェーズ3 コンサイメント回収(Pickup):伝票タイプ「KA」・品目カテゴリ「KAN」。顧客コンサイメント倉庫から自社倉庫への在庫回収。顧客が使用しなかった在庫を引き上げる場合に使用します。
フェーズ4 返品(Return):伝票タイプ「KR」・品目カテゴリ「KRN」。品質問題等で顧客から返品を受ける場合。
Fill-up(KB → VL01N → GI):VA01でKBタイプの伝票を作成→VL01Nで出荷指示→GI転記。GI後、在庫はMMの「顧客別コンサイメント在庫」に移動します(品目実績記録の移動タイプ631)。
顧客使用報告の受付(KE 受注作成):顧客から使用報告(月次使用明細)を受領し、VA01でKEタイプの受注を作成します。使用数量を入力します。
Issue(KE → VF01):KE受注からVF01で請求書を作成します。GI転記(移動タイプ633)と同時に在庫が顧客コンサイメント在庫から消費されます。
在庫確認(MB58):MB58(コンサイメント在庫・プロジェクト在庫の確認)で顧客別コンサイメント在庫の残高を確認できます。顧客の使用状況と自社の預け在庫残高を定期的に照合します。
返品は顧客が購入した品目を自社に戻す取引です。返品処理により「顧客の売掛金を減額し、在庫を回収し、売上原価を戻入する」一連の会計処理が実行されます。
VA01で伝票種類「RE(返品)」を選択します。「参照伝票」欄に元の請求書番号を入力すると請求書明細が自動コピーされます。返品数量・返品理由(Reason for Return)を入力します。
返品受注の明細に品目カテゴリ「REN(Return Item)」が自動設定されます。
入荷指示の作成(VL01N):返品受注からVL01Nで入荷指示(Return Delivery:伝票タイプLR)を作成します。顧客から品物を受領したらMIGO等で入荷記録(移動タイプ651)を行い、返品品が検品後に良品ストックまたは廃棄ストックに入庫されます。
クレジットメモ発行(VF01):入荷完了後にVF01でクレジットメモ(返品請求書)を発行します。「売掛金 Cr / 売上高 Dr」の逆仕訳が実行されます。
クレジットメモ依頼は「品物の返品は伴わず、請求金額の減額を顧客に通知する」場合に使用します。価格の誤請求・サービスレベル未達・顧客への補償等のケースです。
VA01で伝票種類「CR(クレジットメモ依頼)」を作成します。元の請求書番号を参照します。減額金額と減額理由を入力します。
CR伝票には「請求ブロック(Billing Block)」が自動設定され、責任者の承認後に解除されてVF04でクレジットメモ請求書が発行されます。
VF01でクレジットメモ発行:「売掛金 Cr / 売上高 Dr」の仕訳が実行されます。
デビットメモ依頼は「請求書を追加発行して顧客に追加請求する」場合に使用します。追加費用の請求・価格の低請求修正・遅延損害金の請求等のケースです。
VA01で伝票種類「DR(デビットメモ依頼)」を作成します。追加請求金額と事由を入力します。
VF01でデビットメモ発行:「売掛金 Dr / 売上高 Cr」の仕訳が実行されます(通常の請求と同様)。
請求書訂正依頼(RK)は「一つの伝票で誤請求額(CR)と正請求額(DR)の両方を管理する訂正専用の伝票タイプ」です。CRとDRを別々に処理するより、訂正の根拠と差額が一目で確認できます。
VA01で伝票種類「RK」を選択し、元の請求書を参照します。誤請求行(CR行)と正請求行(DR行)が自動でペアになって生成されます。
差額(正請求額 − 誤請求額)を計算し、クレジットまたはデビットの請求書を発行します。
SAPの価格設定は「条件技術(Condition Technique)」と呼ばれる汎用的なフレームワークで実装されています。「どのデータの組み合わせ(アクセスシーケンス)で価格条件レコードを検索し(条件タイプ)、どのような順序で価格を積み上げるか(価格設定手順)」を設定で定義します。
条件タイプ(Condition Type):価格の種類。例:PR00(基本価格)・RA01(数量割引%)・K007(顧客別特売割引)・MWST(消費税)・VPRS(原価:CO-PA転記用)・SKTO(現金割引)。
アクセスシーケンス(Access Sequence):条件レコードを検索する「キーの組み合わせの優先順序」。例:「①品目・得意先→②品目グループ・得意先グループ→③品目グループ全体」という順で検索し、最初にヒットした条件レコードを適用します。
価格設定手順(Pricing Procedure):すべての条件タイプを「行番号・小計・条件の積み上げ順序」で定義したテーブル。「PR00(基本価格)→RA01(数量割引)→K007(特売割引)→小計(Net Price)→MWST(消費税)→合計(Total Amount)」という構造です。
価格設定手順決定(Pricing Procedure Determination):「販売組織×流通チャネル×得意先グループ×伝票タイプ別」にどの価格設定手順を適用するかを決定する設定(OVKK)です。
VK11(価格設定条件の作成)を起動します。条件タイプ(例:PR00)を選択してEnterを押します。
キー項目(販売組織・流通チャネル・品目コード等)を入力し、価格・通貨・有効期間・数量スケール(例:1〜100個は¥1,000/個・101個以上は¥950/個)を入力します。
VK12(価格条件の変更)・VK13(価格条件の表示):条件レコードの変更・照会。
V/LD(価格設定分析):受注の価格計算がどの条件レコードをどのアクセスシーケンスで検索して適用したかをデバッグ的に分析できます。価格の設定ミスのトラブルシューティングに必須のツールです。
数量スケール(Quantity Scale):数量帯別の価格設定。大口購入への割引を段階的に設定します。
顧客別特価(Customer-Specific Price):特定顧客向けの固定価格をPR00または個別条件タイプで管理します。
有効期間管理:条件レコードは有効期間(Valid-From / Valid-To)を持ちます。年度替わりの価格改定は新しい有効期間の条件レコードを作成することで管理します(過去の条件レコードは履歴として保持)。
WPUF(価格条件の一括更新):品目・得意先グループ単位での一括価格改定。Excel形式のデータをLSMWやBAPI経由で一括登録する場合も実務では多いです。
得意先マスタは「一般データ(General Data)・会社コードデータ(Company Code Data)・販売エリアデータ(Sales Area Data)」の三層で構成されます。
一般データ(XD01 → General Data):得意先名称・住所・電話番号・税番号(法人番号)・言語・銀行口座。複数の会社コード・販売エリアで共有されます。
会社コードデータ(FD01 → Company Code Data):入金条件(Payment Terms)・調整勘定(Reconciliation Account)・与信グループ(Credit Group)。FI側の会計管理情報。
販売エリアデータ(VD01 → Sales Area Data):得意先グループ(Customer Group)・配送条件(Delivery Condition)・インコタームズ(Incoterms)・出荷条件(Shipping Condition)・価格設定手順グループ(Customer Pricing Procedure)・CO-PAの収益性セグメント特性への値マッピング。
一つの受注取引には複数の当事者(パートナー)が関与します。SAPは「パートナー機能(Partner Function)」でこれらを管理します。
SP(Sold-to Party:受注先):発注者。請求書は通常SPに発行します。
SH(Ship-to Party:出荷先):物品の配送先。SPと異なる場所(顧客の工場・倉庫・顧客指定の第三者拠点)が指定されます。
BP(Bill-to Party:請求先):請求書の送付先。SPと異なる場合(グループ会社の経理部門が一括で受領等)に分離して設定します。
PY(Payer:入金者):代金を実際に支払う組織。SPと異なる場合(親会社が子会社の代金を一括支払い等)に設定します。
パートナー機能の自動決定:SP入力時に得意先マスタのパートナー機能(顧客コードから紐付くSH/BP/PY)が自動決定されます。これにより「一つのコードを入れるだけで配送先・請求先・入金者が全て設定される」運用が実現します。
品目マスタのSDビューには「販売:一般/プラントデータ(Sales: General/Plant Data)」と「販売:販売組織データ(Sales: Sales Org Data 1/2)」があります。
販売:一般/プラントデータ:出荷工場(Delivering Plant)・荷姿材料グループ(Loading Group)・輸送グループ(Transportation Group)・在庫品目の品目グループ・品目カテゴリグループ(NORM/KMAT/DIEN等)。
販売:販売組織データ1:販売単位(Sales Unit)・最小注文数量・最大注文数量・許容過剰納品/過少納品率・条件グループ・アカウント配賦グループ(Account Assignment Group:売上科目の決定に使用)。
販売:販売組織データ2:品目カテゴリグループ(NORM:標準品・KMAT:コンフィグ可能品・DIEN:サービス・LEIH:貸出品等)。このグループと伝票タイプの組み合わせで品目カテゴリが自動決定されます(VOV4)。
標準的な受注サイクルのトランザクション操作を「引き合い→見積→受注→出荷→請求」の流れで整理します。各ステップの担当者と実行タイミングを明示します。
担当:営業担当者。タイミング:顧客からの引き合い受領時。
VA11で引き合い(IN)を作成します。品目・概算数量・希望価格・要望納期を入力します。引き合いは案件番号として管理され、商談の進捗管理に使用します。
VA15(引き合い一覧)で営業担当者の未対応引き合いを定期確認し、見積転換の優先順位をつけます。
担当:営業担当者・価格担当者。タイミング:引き合い受付後。
VA21で引き合いを参照して見積(QT)を作成します。価格条件(VK11)を確認し、必要に応じて手動で価格調整します。
見積を印刷またはPDF出力(VF31:出力処理)して顧客に送付します。
担当:受注担当者。タイミング:顧客から注文書受領時。
VA01で見積を参照して受注(OR)を作成します。ATP確認で納期を確定し、顧客の発注書番号をPO番号欄に入力します。
与信チェックが自動実行されます。与信ブロックが発生した場合はVKM3で信用管理担当者が解除します。
担当:出荷担当者・倉庫担当者。タイミング:出荷日(計画納期の前日または当日)。
VL10A(受注からの一括出荷指示作成)で本日出荷分の受注を一括処理します。または個別にVL01Nで作成します。
VL06O(出荷処理モニタ)でピッキング待ち出荷指示を確認します。ピッキング確認→梱包→GI転記の順で処理します。
担当:請求担当者。タイミング:GI転記後(当日または翌営業日の朝)。
VF04でGI転記済みの出荷指示一覧を表示し、一括で請求書を作成します。
VF05で作成済み請求書の会計転記ステータスを確認します。エラー請求書はVFX3で原因を確認して修正します。
FBL5N(得意先別明細レポート):得意先の未入金売掛明細を確認します。
F.28(請求書督促状の発行):入金期日を超えた未入金の得意先に督促状を送付します。SAPのダンニングプログラム(F150)で自動化されます。
XD01(得意先マスタの作成:販売エリアデータ含む)を起動します。勘定グループ(Account Group)を選択します(例:「0001:受注先・0002:出荷先・0003:請求先」等)。
一般データ:企業名・住所・税番号・連絡先・言語・通貨を入力します。
会社コードデータ:調整勘定(FIの売掛金管理勘定)・入金条件・与信グループを入力します。
販売エリアデータ:得意先グループ・配送条件(DDP/EXW等のインコタームズ)・税分類(国内課税・輸出免税等)・出荷条件(即日出荷/事前通知要等)・価格設定手順グループを入力します。
MM01(品目マスタの作成)またはMM02(変更)で「販売:一般/プラントデータ」「販売:販売組織データ1/2」ビューを選択します。
出荷工場・品目カテゴリグループ・アカウント配賦グループ(売上科目の決定)・最小/最大受注量・販売単位を設定します。
品目カテゴリグループ(NORM/DIEN/KMAT等)がSD伝票での品目カテゴリ自動決定(VOV4)の基準になります。サービス品目はDIEN・Variant構成品はKMATを設定します。
販売伝票タイプ(Sales Document Type)はSAP SDの核心設定です。伝票タイプが「受注のビジネスプロセス(標準受注/返品/クレジットメモ/コンサイメント等)」のすべての挙動を制御します。
VOV8(販売伝票タイプの設定):新規伝票タイプの作成・既存タイプのカスタマイズ。主要な設定項目を示します。
番号付け(Number Range):伝票番号の採番ルール(外部番号/内部自動採番)と番号範囲を指定します。
受注タイプ(SD Document Category):伝票の性質(受注=C・返品=H・クレジットメモ依頼=K等)を定義します。
参照必須(Reference Mandatory):見積や請求書からの参照なしに伝票作成を禁止するか設定します。返品(RE)は元請求書の参照を必須とする設定が推奨です。
納期タイプ(Requested Delivery Date):受注時の納期入力要否を設定します。
請求ブロック(Billing Block):CR/DRタイプに自動的に請求ブロックを設定するかを定義します。承認フローを経てブロックを解除する運用に使用します。
与信グループ(Credit Group):与信チェックをこの伝票タイプで実行するかと、使用する与信グループを設定します。
品目カテゴリ(Item Category)は受注明細の挙動——「在庫引当するか・出荷指示を作成するか・請求可能か・購買依頼を生成するか」——を制御します。
VOV7(品目カテゴリの設定):主要な設定項目を示します。
物品出庫関連性(Relevant for Delivery):出荷指示を生成するか。TAN(標準品)はY・TAD(サービス)はN。
請求関連性(Billing Relevance):「A:出荷ベース請求・B:受注ベース請求・G:支払い済みのサービス確認ベース」等を選択します。
特別在庫(Special Stock):コンサイメント(W)・プロジェクト在庫(Q)等を指定します。
自動バッチ決定(Automatic Batch Determination):バッチ管理品目のバッチ自動選択を有効にします。
重要度(Business Item):この品目カテゴリがビジネス上重要かどうか。値ゼロや数量ゼロの明細を許可するかに影響します。
スケジュール行カテゴリ(Schedule Line Category)は「在庫引当・購買依頼生成・輸送スケジューリング」等のスケジュール行レベルの挙動を制御します。
CP(MRP連動):ATP確認・在庫引当を実行する標準的なスケジュール行カテゴリ。
CS(第三者発注):購買依頼を自動生成するスケジュール行カテゴリ。TAS品目カテゴリと組み合わせて使用します。
CB(Consignment Fill-up):コンサイメント出荷向け。在庫を顧客コンサイメント在庫に移動します。
VOV6設定項目:移動タイプ(Goods Movement Type)・MRP関連性・購買依頼タイプ・輸送スケジューリング関連性を定義します。
VOV4では「伝票タイプ×品目カテゴリグループ(品目マスタ)×使用(Usage)×上位品目カテゴリ」の組み合わせで「品目カテゴリが自動決定されるルール」を定義します。
例:「OR(標準受注)×NORM(標準品)×(通常)→TAN(標準品目カテゴリ)」「OR×DIEN(サービス)→TAD」「OR×KMAT(コンフィグ品)→TAK(Variant Configuration品目)」。
明細タイプ(Item Category Usage):「テキスト(T)・一括品目(B)・サービス(S)」等の特殊用途に対応する品目カテゴリを決定します。
コピーコントロールは「伝票Aから伝票Bにデータをコピーする際の制御ルール」を定義します。
VTAA(受注→受注コピーコントロール):見積→受注・見積→見積のコピールールを設定します。「コピー量(Copy Quantity)・価格コピー(Copy Price)・再計算(Redetermine Price)・コピー条件(完全参照必須等)」を制御します。
VTLA(出荷→出荷コピーコントロール):出荷指示作成時の明細コピールール。
VTFA(出荷→請求書コピーコントロール):出荷から請求書へのコピールール。「請求金額の再計算(再価格決定)・移転コストのコピー・請求種別の決定」を制御します。
VTFA設定の重要項目:「Billing Quantity」——請求数量の基準を「出荷数量(A)・受注数量(B)」どちらにするかの設定が請求漏れの防止に重要です。
V/08(価格設定手順の設定):価格設定手順の各行(Step)を定義します。「Step番号・条件タイプ・From(計算基準の参照小計)・要件(Requirement:この条件が適用される条件)・統計フラグ(X:価格に反映しない統計値)・印刷フラグ(S:明細印刷)」を設定します。
小計(Subtotal):価格積上の途中合計を算出する行を定義します。例:「Step 900:粗価格(Net Price 1)・Step 950:税抜き最終価格・Step 990:税込み合計」。
V/07(アクセスシーケンスの設定):アクセスシーケンスの各アクセス(条件テーブル・キー項目の組み合わせ)を定義します。例:「アクセス1:VKORG/VTWEG/KUNNR/MATNR(販売組織×流通チャネル×得意先×品目)→アクセス2:VKORG/VTWEG/KDGRP/MATNR(販売組織×流通チャネル×得意先グループ×品目)→アクセス3:VKORG/VTWEG/MATNR(販売組織×流通チャネル×品目)」。
OVKK(価格設定手順の決定):「販売組織×流通チャネル×得意先価格手順グループ×伝票価格手順グループ」の組み合わせで使用する価格設定手順を決定します。
OVLK(出荷タイプの設定):出荷タイプ(LF:標準出荷・LR:返品受入・NL:補充出荷等)のパラメータ(GIの移動タイプ・ピッキング要否・品目実績記録ブロック等)を定義します。
OVLA(出荷箇所の割り当て):出荷箇所(Shipping Point)を「出荷工場×出荷条件×荷姿材料グループ」の組み合わせで自動決定するルールを設定します。
VOFA(請求書タイプの設定):F2(標準請求書)・G2(クレジットメモ)・L2(デビットメモ)・RE(返品請求)等のタイプ別パラメータ(FI勘定転記のタイミング・CO-PA転記の有効化・番号採番)を定義します。
VOFA重要設定「会計転記(Posting block)」:請求書作成時に即座にFI転記するか、手動解除後に転記するかを制御します。大量出力後の一括転記や承認フローがある場合はブロックを設定します。
SDの請求書転記時に「どの売上勘定(G/L Account)に転記するか」を決定する「勘定決定(Account Determination)」の設定です。
VKOA(売上勘定決定の設定):「アプリケーション(V)×勘定決定タイプ(KOFI等)×販売組織×得意先グループ×品目アカウント配賦グループ×勘定キー(ERF/ERL/ERU等)→G/L勘定」というマッピングを定義します。
勘定キー:ERF(収益:Revenue)・ERL(Returns)・ERU(Un-earned Revenue)・ERS(Freight Revenue)等の用途別キーが請求書の各価格条件タイプに割り当てられており、それぞれ異なるG/L勘定に転記されます。
OVZ2(チェック指示):ATP確認の「何を確認するか(受注在庫・生産計画・購買発注等を含めるか)」と「リードタイムによるバックオーダー確認か単純在庫チェックか」を設定します。
OVZ9(利用可能チェックグループ):品目マスタの「MRP 3ビュー → 利用可能性チェック(Availability Check)」フィールドに設定するチェックグループと、そのグループに適用するチェック指示を定義します。
OMJJ(移動タイプの設定):GI時の在庫移動タイプ(601:出荷出庫)に対する在庫更新・原価伝票生成の設定を確認します。
電子部品の販売を行うA社では、品目数が10,000点を超えるカタログ販売を行っており、すべての品目を自社在庫で持つことは資金繰り上困難でした。特にロングテール品目(低頻度・低単価)の在庫コストと廃棄リスクが経営上の課題でした。
A社はSAP SDの第三者発注(TAS品目カテゴリ)を導入し、ロングテール品目の受注時に自社在庫を持たず仕入先から顧客への直送を自動化しました。購買依頼の自動生成→発注→顧客請求のフローがシステム化され、手動調整工数が大幅に削減されました。在庫圧縮効果により運転資金が改善されたと報告されています。
産業機械部品を供給するB社では、顧客(製造ライン保有企業)の「緊急時の部品調達待ち時間」がラインダウンのリスク要因になっていました。顧客への部品在庫の委託(コンサイメント)を個別管理する運用が属人的で、使用済み分の請求漏れや在庫過不足の把握が困難でした。
B社はSAP SDのコンサイメント機能(KB/KE/KA)を導入し、顧客コンサイメント在庫をMB58でリアルタイム可視化しました。顧客の使用報告(電子データ)を受領するとKE受注が自動生成されるEDI連携も整備し、使用済み分の請求漏れがゼロになりました。顧客は「使った分だけ払う」という在庫リスクなしの調達が実現し、パートナー関係の強化にもつながりました。
ソフトウェア保守・導入コンサルティングを主力とするC社では、多数の保守契約顧客への月次・年次の定期請求が手作業で管理されており、請求漏れと請求タイミングのばらつきが問題でした。大型導入案件はPS(プロジェクト管理)で工数・コストを管理していましたが、SDの受注・請求と連携がなく、二重入力が発生していました。
C社はSAP SDの契約機能(VA41・請求計画)で保守契約の定期自動請求を整備し、月次の請求バッチ実行(VF04)でミス・漏れゼロを実現しました。大型案件はSD受注明細をPS WBSに紐付け、マイルストーン請求(LEIS品目カテゴリ)でWBS完了状況に連動した請求書自動化を実現しています。
以上
SAP SD(Sales and Distribution)は、受注から出荷・請求・入金確認まで販売プロセスを統合管理するモジュールです。価格決定・与信管理・出荷ロジスティクスを自動化し、リードタイムの短縮と正確な請求を実現します。
| ▌ ①受注起票と価格自動決定 |
・VA01:得意先・品目を入力するだけで価格・納期・出荷拠点を自動決定 ・コンディション技術(Condition Technique):値引き・割増・特別価格を得意先/品目グループ組み合わせで自動計算 ・与信管理(Credit Management):与信限度額超過時に受注を自動ブロックし与信担当者へタスク通知 ・契約(Scheduling Agreement):長期供給契約から出荷スケジュールを自動展開 |
| ▌ ②出荷・納品管理 |
・VL01N:受注から出荷指示を自動作成。ピッキングリスト・梱包・積載をシステム管理 ・在庫引当:出荷確認(Goods Issue)で在庫を自動引き落とし。FI仕訳(売上原価)を同時自動起票 ・配送ルート最適化:納品先・重量・容積に基づく輸送ルートの自動提案 ・輸出書類:インボイス・パッキングリスト・原産地証明の自動生成 |
| ▌ ③請求・収益認識 |
・VF01:出荷確認と連動して請求書を自動作成。FIへの売上仕訳を自動転記 ・請求計画(Billing Plan):マイルストーン・定期請求のスケジュール管理 ・収益認識(Revenue Recognition):IFRS 15準拠の履行義務に基づく収益計上タイミング制御 ・クレジットメモ・デビットメモ:返品・訂正の逆仕訳を自動処理 |