Production Planning:BOM・MRP・製造指図・実績管理・能力計画・繰返製造の全解説
2026年6月
SAP PP(Production Planning and Control:生産計画・管理)は、製品を「いつ・どこで・何を・いくつ・どうやって作るか」を計画し、製造現場に指示を出して、実績を記録するモジュールです。PPはMM(購買:材料の手配)・QM(品質:検査)・CO(原価:製造コスト)・SD(販売:受注情報の取込)と密接に連携し、製造業のオペレーション全体を統合します。
PPの核心機能は「MRP(Material Requirements Planning:資材所要量計画)」です。MRPは「いつまでに何個の完成品が必要か」という需要情報から逆算し、「いつまでに何の材料を何個手配・製造すべきか」を自動計算します。この自動計算により、材料不足を人が発見してから発注するという属人的な手配業務を根本から排除します。
PP↔︎MM:MRPが生成した購買依頼はMMの購買フロー(ME57→ME21N→MIGO)に引き継がれます。製造指図への材料払い出し(MIGO:移動タイプ261)もMMの在庫から実行されます。
PP↔︎CO:製造指図にはCO-PCの原価コレクターが割り当てられ、材料費・加工費・間接費の実績が収集されます。CK11Nで計算した標準原価と実績原価の差異はCO88(製造指図精算)で差異分析されます。
PP↔︎QM:製造指図の「工程内検査(検査種別03)」「完成品検査(検査種別04)」はPPとQMの連携で実現します。製造指図リリース時に検査ロット(Inspection Lot)が自動生成されます。
PP↔︎SD:SDの受注(VA01)はMRP所要量として自動取込されます。MTO(受注生産)では受注が製造の起点になります。確納回答(ATP:Available-to-Promise)はPPのMRP結果に基づいて返されます。
PP↔︎PS:プロジェクト型製品(ETO)ではWBS要素を製造の原価コレクターとして使用します。PSのネットワーク活動にPP工程を紐付けることで、プロジェクト管理と製造管理を統合します。
PP-MRP(資材所要量計画):需要から必要な材料・半製品の所要量を計算します。製造指図・購買依頼を自動生成します。
PP-SFC(製造指図:Shop Floor Control):現場への製造指示の発行・進捗管理・実績入力を管理します。
PP-CRP(能力所要量計画:Capacity Requirements Planning):作業区の能力制約を考慮した生産計画の平準化(Load Leveling)を行います。
PP-REM(繰返製造:Repetitive Manufacturing):同一製品を繰り返し大量生産する場合に使用します。製造指図ではなく「製造指示(Run Schedule Quantity:RSQ)」で管理します。
PP-MPS(基本生産スケジュール:Master Production Scheduling):最終製品の生産計画をMRPから切り離し、プランナーが個別管理するための上位計画レイヤーです。
多段BOMの自動展開:完成品→半製品→材料BOMの多段展開を自動で行います。BOMが数百段階になっても自動で必要材料を算出します。
MRPによる自動手配計算:在庫・発注残・製造残を考慮した「正味所要量」を自動計算し、製造指図・購買依頼を生成します。MRP実行後にプランナーが確認・承認するだけで大量の手配業務を自動化できます。
製造指図への原価収集:製造指図には「計画コスト(BOM+ルーティングから積上)」と「実際コスト(材料実績費・工数実績費)」が収集され、CO-PCによる差異分析(CO88)の基礎データになります。
ルーティングによる工程管理:各製品の製造工程(どの作業区で何時間かかるか)をルーティングで定義し、製造指図の日程計画・実績管理の基礎とします。
能力計画による過負荷検出:作業区の「利用可能能力(Available Capacity)」と「所要能力(Capacity Requirements)」を比較し、過負荷(Overload)を可視化します。CM21(グラフィカル能力計画)でガントチャート上でリスケジューリングが可能です。
繰返製造(PP-REM)による量産ライン管理:自動車・家電等の量産ラインでは、製造指図を使わず「RSQ(Run Schedule Quantity)」で生産スケジュールを管理します。バックフラッシュ(MFBF)で実績を簡略化して入力できます。
電子作業指示(PP連携):COBi(PP-DI)または製造指図印刷(CO04N)で現場作業指示書を電子化・印刷できます。工程・材料・品質要件を一覧した「製造指図票」が自動生成されます。
標準MRPは無限能力計画:標準MRP(無限能力計画)は作業区の能力制約を無視して所要量を計算します。「能力を超えた製造指図」が大量生成されるケースがあり、プランナーによる調整が必須です。能力制約を考慮した計画にはOpcenter APSまたはSAP IBPとの連携が必要です。
BOMとルーティングのメンテナンスコスト:製品種類が多い場合、BOM・ルーティングのマスタデータ維持工数が大きくなります。変更管理(ECM:Engineering Change Management)の運用ルール設計が重要です。
MRP実行時間:品目数・BOM段数が多い場合、MRP実行(MD01N)に長時間かかります。S/4HANAのpMRP(Parallel MRP)を使用することで実行時間を大幅短縮できます。
複雑な進捗管理(ETO品目):複雑な多工程製品(個別受注品・装置製品)の細かな進捗管理はPP標準機能の範囲を超えることがあります。PSモジュールとの連携またはMESとの統合を検討します。
シリアル番号・ロット追跡のPP単独の限界:PP製造指図は製造ロット単位でのトレーサビリティを管理しますが、完成品シリアル番号と使用材料ロットの細粒度追跡にはMESまたはQM(検査ロット)との連携が必要です。
BOMとは「製品を製造するために必要な材料・部品の一覧表」です。「完成品A=部品B×2個+部品C×1個+材料D×500g」のような関係を定義します。
CS01(BOMの作成):品目番号・プラント・BOM用途(生産用「1」)を指定してBOMを作成します。BOMヘッダの「代替BOM番号(Alternative BOM)」で同一品目に複数の製造方法(通常製造・代替材料使用等)を定義できます。
明細行:品目コード・数量・数量単位・有効開始日・廃止日・「固定(Fixed)」フラグ(MRP展開の対象・対象外の制御)・代替品目グループ(代替部品の定義)を入力します。
テキスト品目(品目カテゴリT):BOM内のフリーテキスト注記行。品目コードは不要で、製造現場への補足指示を記入できます。
CS02(BOM変更):有効日付管理(Change Number / ECM)を使った変更が推奨されます。ECMを使用することで「この変更はいつから有効か・過去の製造指図にはどちらのBOMを使うか」が制御されます。
CS11/CS12(BOM展開):多段BOMを展開して「最終製品→材料レベル」の全必要材料一覧を表示します。CS12(多段展開)では全構成品目と累積数量が階層表示されます。
C223(製造バージョン):同じ製品に複数の製造方法がある場合(BOM①×ルーティング①の組み合わせ=製造バージョン①)を定義します。MRPやCK11N(コスト見積)で使用する製造バージョンを指定します。
作業区とは「製造作業を行う設備・人員グループ・製造ライン」の単位です。「旋盤加工エリア・組立ライン1・検査ステーション」等が作業区として設定されます。
CR01(作業区の作成):作業区コード・プラント・作業区カテゴリ(0001:機械・0006:労働力等)を入力してEnterを押します。
基本データ:作業区の説明・担当者・原価センタ(加工費計上先)・活動タイプ(機械時間・労働時間)・標準値キー(計算式の参照先)を設定します。
利用可能能力タブ:シフトモデル(例:2直8時間)・稼働日カレンダー・能力利用率(例:85%)から「利用可能能力(時間/日)」を計算します。CRPで能力過不足を計算する基礎データです。
コスト計算タブ:使用する活動タイプ(機械時間/労働時間/段取り時間等)と計算式(標準値キー参照)を設定します。製造指図の計画コスト積上とCO-PCの標準原価計算に使用されます。
ルーティングとは「製品を製造する一連の工程の手順書」です。「工程10:旋盤加工(作業区A、機械時間30分)→工程20:組立(作業区B、人工時間60分)→工程30:検査(作業区C、20分)」のような工程フローを定義します。
CA01(ルーティングの作成):品目・プラント・用途(1:生産)を指定してルーティングを作成します。
工程(Operation)明細:工程番号(10・20・30…)・作業区・制御キー(PP01:内作・PP02:外注・PP03:マイルストーン)・活動タイプごとの標準時間(機械時間・段取り時間・人工時間)・作業区コードを入力します。
制御キー(Control Key):PP01(内作:能力計画+原価計算あり)・PP03(マイルストーン:基準点工程、後続工程の完了が確認できる管理ポイント)・PP02(外注:移動タイプ541/543使用)。
QM検査連携:工程に「検査特性(Inspection Characteristics)」を割り当てると、製造指図リリース時にその工程用の「工程内検査ロット(検査種別03)」が自動生成されます。
CA21(参照ルーティング):多品種に共通の工程がある場合、参照ルーティング(Reference Routing)を作成して各品目のルーティングから参照します。
MRPを動かす「需要(何を何個いつまでに作る必要があるか)」の入力源は複数あります。
計画独立所要量(PIR:MD61):見込み生産(MTS)の場合に「品目・数量・日付」を手動入力、またはIBP(統合事業計画)から連携します。
確定受注(SD受注:VA01):SDの受注はMRP所要量として自動取込されます。受注生産(MTO)では受注が製造の起点になります。
従属所要量(Dependent Requirements):上位品目のBOM展開から自動計算される下位品目の所要量です。プランナーが入力する必要はなく、MRPが自動生成します。
MD40(MPSの対話型計画):MPSラン(MPS品目のみを計算するMRP実行)を実行して計画手配を生成します。「需要・在庫・計画手配」の推移グラフで過不足を視覚的に確認します。
MD41(単品目MPS計画):単一品目のMPS計画を画面上で確認・修正しながら対話式に計画します。「確定済み計画手配(Firmed Planned Order)」に変更することで、次回MRP実行でも上書きされない安定した計画を維持できます。
MD43(MPSのフォルダ式表示):計画手配の確認・変換をドラッグ&ドロップ感覚で操作できます。MPSプランナーの日常業務画面として利用されます。
MRPは「総所要量(Gross Requirements)-現在の在庫・受入予定=正味所要量(Net Requirements)」を計算し、正味所要量分の製造指図・購買依頼を自動生成します。ロットサイズとリードタイムを考慮して所要日付の制約を守った発注点を自動決定します。
| MRP計算の基本式 |
| 総所要量(需要) - 在庫 - 受入予定(発注残・製造指図残) = 正味所要量 正味所要量をロットサイズに基づいて丸め、リードタイムを差し引いた日付が「開始日(発注日)」になります。 |
MD01Nを起動します。MRP管理者(MRP Controller)・プラント・計画ホライズン(Planning Horizon:MRPを実行する将来期間)・計画モード(1:再生計画・3:正味変更)を入力します。
計画モードの選択:「1(再生計画:Regenerative)」は全品目を再計算します。「3(正味変更計画:Net Change)」は前回実行後に変更(在庫変動・受注変化・BOM変更等)があった品目のみ再計算します。通常はNRを使用して実行時間を短縮します。
バックグラウンド実行:MD01Nはバックグラウンドジョブ(SM36)でスケジューリングして夜間自動実行することが多いです。
MD04を起動します。品目・プラントを入力してEnterを押します。
表示される情報:「日付・受払区分(PIR/SD受注/購買依頼/製造指図/在庫残高)・所要量・利用可能数量の推移(過不足)」が時系列で表示されます。
赤字表示の行(負の利用可能数量):その日付に在庫が不足することを意味します。「MRP差異(Rescheduling Message)」アイコンで「繰り上げが必要な手配」「廃止すべき余剰手配」等の推奨処置が表示されます。
計画手配のドリルダウン:計画手配行をダブルクリックするとMD12(計画手配の変更)に遷移して日付・数量を修正できます。
MRPタイプ(MRP Type):PD(標準MRP)・M0(MPS)・VB(補充点方式)・ND(MRPなし)など。
ロットサイズ(Lot Size):EX(正確なロット:所要量ぴったり生成)・FX(固定ロット:常に固定数量)・HB(補充点)・PK(週次ロット)・MB(月次ロット)。最小発注量・最大発注量・丸め値も設定可能。
自給リードタイム(In-house Production Time):製造指図の着手→完成までの日数。MRPの所要日計算に使用。
計画戦略(Planning Strategy):10(見込生産)・20(受注生産)・40(MTO+MTS混流)・52(計画独立所要量+確定受注で相殺)。
特殊調達タイプ:30(外注加工)・40(別プラントからの移送)・50(サブコントラクタ)など。
CO01(製造指図の手動作成):品目・製造バージョン・数量・製造期間を直接入力して製造指図を作成します。緊急品・試作品等でMRPを通さずに発行するケースです。
CO40(MRP計画手配→製造指図の個別変換):MD04画面から計画手配を選択してCO40を実行します。製造指図の詳細(BOM明細・ルーティング・納期)を確認しながら変換します。
MD16(計画手配→製造指図の一括変換):バイヤーまたはプランナーがMD16で複数の計画手配を一括変換します。通常の量産品はMD16で日次バッチ処理するケースが多いです。
製造指図は「作成(CRTD)→リリース(REL)」のステータス変化を経て初めて現場で作業着手できます。
CO02(製造指図の変更)を起動して製造指図番号を入力します。
「リリース(Release)」ボタン(またはメニュー:製造指図→機能→リリース)を押します。リリースと同時に「材料の在庫確認(Availability Check)」が実行されます。
材料不足の処理:部品が在庫不足の場合は「欠品(Missing Parts)」リストが表示されます。欠品が解消されるまで現場着手を保留するか(運用ルールに従って)、欠品を承知でリリースするかを判断します。
リリース後:製造指図票(作業指示書)の印刷(CO04N)が可能になります。現場作業者はこの指示書に従って作業を進めます。
CO26(在庫不足のある製造指図一覧):欠品リストを一括確認します。部品手配のフォローアップに使用します。
MIGOを起動します。「Goods Issue(出庫)」→「Order(製造指図参照)」を選択します。
製造指図番号を入力してEnterを押します。BOMの構成品目が自動展開されて払い出し明細が表示されます。
実際の払い出し数量を確認・修正します。代替部品を使用した場合は品目コードを変更します。
転記:「在庫勘定 Cr / 製造指図(仕掛)」に費用計上されます。払い出しと同時に製造指図の「実績費用(Actual Costs)」が更新されます。
バックフラッシュ(Backflushing):製造指図完了入庫(MIGO:移動タイプ101)時に材料の払い出し(261)を自動実行するオプションです。品目マスタのバックフラッシュフラグを設定することで、現場での個別払い出し操作を省略できます。
CO11N(製造指図の実績確認)を起動します。製造指図番号・工程番号を入力します。
「確認タイプ(Confirmation Type)」:部分確認(Partial)または最終確認(Final)を選択します。最終確認でその工程が完了と判定されます。
実績数量の入力:「実績合格数量(Yield Quantity)・不良数量(Scrap Quantity)・再加工数量(Rework Quantity)」を入力します。不良数量はQMの品質通知に自動転記されます。
実績時間の入力:「機械稼働時間・直接労働時間・段取り時間」を入力します。これがCO-CCAの活動配賦(原価センタ→製造指図)の基礎になります。
最終確認の実行:全工程の最終確認が完了すると製造指図ステータスが「確認済み(CNF)」になります。
MIGOを起動します。「Goods Receipt(入庫)」→「Order(製造指図参照)」を選択します。
製造指図番号を入力してEnterを押します。完成品品目・生産数量・保管場所を入力します。
転記:「在庫勘定(BSX)Dr / 製造指図(仕掛品勘定)Cr」の仕訳が自動生成されます。完成品が在庫に計上されます。
部分入庫:製造指図の完成品数量の一部を入庫することが可能です。残数量は後日入庫します。
TECO(技術的完了):全数量の入庫完了後、製造指図を「技術的完了(TECO)」に設定します。TECOはスケジューリングとMRPの対象から除外されますが、原価計算はまだ終わっていません。
CO88(製造指図精算):期末に製造指図の残差(計画コスト-実際コスト)をCO-PCで分析・精算します。差異は「価格差異・数量差異・作業差異」等に分類されてCO-PAまたは在庫差異として転記されます。
CLSD(製造指図の完全完了):CO88精算後に製造指図を完全クローズ(CLSD)します。以降は変更不可になります。
能力計画(CRP:Capacity Requirements Planning)は「MRPが生成した製造指図の工程負荷が、作業区の利用可能能力に収まるかどうか」を検証・調整する機能です。MRPは無限能力を前提とするため、能力超過(Overload)の検出と解消は別途CRPで行います。
CM01(作業区能力評価:リスト形式):作業区・期間を指定して「利用可能能力・所要能力・利用率(%)」を期間別に表示します。100%超の期間(赤字表示)が過負荷です。
CM21(グラフィカル能力計画):ガントチャート形式で製造指図を表示します。過負荷の製造指図をドラッグ&ドロップで別日・別作業区に移動させてリスケジューリングできます。直感的な操作で能力平準化(Load Leveling)を実現します。
CM04(能力過不足一覧):すべての作業区の能力過不足を一覧表示します。優先度の高い過負荷を特定するスタート画面として使用します。
繰返製造(PP-REM)は、同じ製品を繰り返し大量生産する環境(自動車・家電・消費財等の量産ライン)向けの生産管理方式です。個別の製造指図ではなく「生産ライン・日程・数量」を管理します。
PP-REMの特徴:製造指図を個別に発行しない(代わりにRSQ:Run Schedule Quantityで計画)、バックフラッシュ(MFBF)で簡単に実績入力、製造原価は「製品原価コレクター」に収集されます。
MF50(繰返製造計画ボード):製造ラインと計画期間を指定して計画ボードを表示します。MRPが生成したプランニングテーブルをビジュアルなガントチャートで編集できます。
日次または週次の生産計画量を各ラインに割り当てます。ドラッグ&ドロップで計画の調整が可能です。
計画確定後、「RSQ(Run Schedule Quantity)」として保存されます。
MFBF(繰返製造のバックフラッシュ)を起動します。製造ライン・品目・実績数量・入庫保管場所を入力します。
「転記」を実行すると、完成品の入庫(101)と構成品の払い出し(261)が自動で同時処理されます。製造指図を一件ずつ処理する必要がなく、大量生産の実績入力を大幅に簡略化します。
不良数量が発生した場合はスクラップ数量を入力します。スクラップは製品原価コレクターに原価差異として収集されます。
外注加工(Subcontracting)は「自社の材料を外部加工業者に支給し、加工後の半製品・完成品を受け取る」形態です。PPでは製造指図の工程制御キー(PP02)で外注工程を指定します。MMでは品目カテゴリL(サブコントラクタ)の発注書を使用します。
ルーティングの外注工程(制御キーPP02):外注工程の作業区に外注加工費勘定・活動タイプを設定します。
製造指図リリース時:外注工程に達すると「外注発注依頼(Subcontracting PO Request)」が自動生成されます。
ME21N(外注発注書作成):購買担当者が外注発注依頼を確認してME21N(品目カテゴリL)で外注発注書を作成します。「支給部品(Components)」タブに支給材料が自動設定されます。
MIGO(移動タイプ541:支給材料払い出し):外注先に材料を払い出します(所有権は自社)。
MIGO(移動タイプ101:外注品の入庫):外注先から完成品が届いたら入庫します。支給材料が自動消費(543)されます。
MD61(PIRの入力):需要計画(または販売部門から連携された予測数量)を品目・月次・数量で入力します。
MD01N(総括MRP実行):全品目の所要量を計算し、計画手配・購買依頼を自動生成します。
MD04(MRP結果確認):品目ごとの在庫・所要量・過不足推移を確認します。欠品(負の利用可能数量)のある品目を優先対応します。
MD16(一括変換):確定した計画手配を製造指図に一括変換します。
CO02(製造指図リリース):在庫確認を行いリリースします。CO04N(製造指図票印刷)で作業指示書を発行します。
MIGO(261:材料払い出し):製造指図参照で材料を払い出します。
CO11N(実績確認):各工程の実績時間・合格数量・不良数量を入力します。
MIGO(101:完成品入庫):製造指図参照で完成品を在庫に計上します。
TECO(技術的完了)→CO88(製造指図精算)→CLSD(完全完了)の順で締め処理します。
VA01(受注の作成):SDの受注がMRPに所要量として自動取込されます。計画戦略20(受注生産)の品目は受注が入って初めてMRPが動きます。
MD04(受注特別在庫確認):受注特別ストック(E)として在庫が管理されます。MD01N実行→MD16変換。
リリース→払い出し→実績確認→完成品入庫→決算は、MTS同様のフローです。完成品は受注特別在庫に計上され、SDの出荷(VL01N)で顧客に出荷されます。
OPJN(コントロールエリア):PP機能の有効化(PP-MRP・PP-CRP・PP-SFC・PP-REM)をコントロールエリア単位で設定します。
OPPE(MRP管理者の定義):MRP管理者コードを定義します。品目マスタのMRPビューで各品目の担当MRP管理者を指定します。
OPPR(MRP管理者:プラントへの割当):MRP管理者をどのプラントで使用するかを設定します。
OS21(BOM用途の設定):BOM用途(1:生産・2:エンジニアリング・3:販売)を定義します。
OP43(制御キーの設定):ルーティング工程の制御キー(PP01/PP02/PP03等)を定義します。能力計画・コスト計算・確認の必要可否を制御します。
CR10(作業区カテゴリの設定):作業区のカテゴリ(機械・労働力・ライン等)を定義します。
OPPQ(プラントパラメーターの設定):プラントのMRP関連パラメーター(MRPタイプ・評価・ロジック)を設定します。「並列MRP(Parallel MRP)」の有効化もここで行います。
OMD3(計画ホライズンの設定):MRPが計算する将来期間(例:90日先まで)を設定します。
OMI9(MRP実行の設定):総括MRP(MD01N)の動作パラメーター(バックグラウンド実行・ログ設定)を定義します。
OPJ1(製造指図タイプの設定):製造指図タイプ(PP01:内作・PP02:修理等)ごとに「番号範囲・リリース条件・完了確認ルール・在庫確認ルール・原価計算ルール」を設定します。
CO78(期末処理スケジュール):CO88(製造指図精算)の実行スケジュールを定義します。月次精算バッチとして設定します。
精密機械メーカーでは、購買担当者が毎日Excelで材料在庫を確認し、不足品目を手作業でリストアップして発注していました。判断ミスによる欠品(生産停止)が月2〜3回、過剰発注による余剰在庫が常態化していました。
品目マスタにMRPタイプ(PD)・ロットサイズ・リードタイムを正確に設定しました。BOMを最新状態に整備しました。
MD01N(正味変更MRP)を毎朝バックグラウンドで自動実行するように設定しました。
MD06(遅延アラーム一覧)を購買担当者の朝の業務起点にしました。優先対応すべき欠品品目が一目で分かります。
材料手配の自動化により、購買担当者の1日2時間のExcel作業がゼロになりました。
生産停止(欠品起因):月2〜3回→月0回(3ヶ月後)に改善されました。
余剰在庫金額が前年比 -25%になりました。ロットサイズ最適化により小ロット調達が可能になりました。
同一品種を大量生産する自動車部品メーカーでは、月に数千本の製造指図を個別に作成・リリース・確認するという膨大な事務作業が発生していました。製造現場の実績入力も製造指図ごとに行う必要があり、入力作業が遅れて日次実績管理ができていませんでした。
主力量産品をPP-REM(繰返製造)に移行しました。製造指図を廃止し、MF50(繰返製造計画ボード)で週次計画を管理します。
MFBFのバックフラッシュで日次実績を1オペレーションで入力します。完成品入庫と材料払い出しが同時処理されます。
製品原価コレクターで月次の製造原価を集計し、CO88で差異分析します。
製造指図の作成・管理工数が月間40時間→5時間(87%削減)になりました。
バックフラッシュにより日次実績入力が当日18時以前に完結するようになりました(翌日入力が常態だったものが改善)。
製品原価コレクターによる月次原価分析により、工程別の損失原因が可視化されました。
多品種少量生産の産業機器メーカーでは、生産計画担当者の勘と経験に頼った納期回答が多く、納期遅延が常態化していました。どの作業区がボトルネックかを把握できないため、有効な対策を打てない状況でした。
作業区の利用可能能力(CR01:シフト設定・稼働カレンダー)を正確に設定しました。
CM01/CM21(能力評価・グラフィカル計画)を毎週月曜に確認するルーティンを確立しました。ボトルネック作業区を特定して優先的に手当します。
CTP(Capable-to-Promise)設定を導入し、受注時にSD(VA01)から能力制約を考慮した確認納期を自動提案するようにしました。
ボトルネック作業区の能力過不足が週次で可視化され、残業・応援要員の手配が計画的にできるようになりました。
納期遵守率:68%→89%に向上しました(6ヶ月後)。
CTP導入により受注時の無謀な納期回答がなくなり、顧客からのクレームが減少しました。
以上